オムロンは今、全社プロジェクトとしてAI人材の獲得に乗り出している。同社技術・知財本部の浜崎秀泰課長は「毎年数十人の規模で採用を進めたい」と話す。

 2017年4月からプロジェクトを始動し、これまでに電機メーカー、IT企業、コンサルティング企業、大学、金融機関などからAI人材を中途採用した。「異なる業種業界から応募がこんなにあるとは意外だった」(浜崎課長)。

 「かつては画像認識が主だったが、今はその他の分野でもAIの活用が期待されるようになってきた」と、同氏はプロジェクトの狙いを説明する。もともとオムロンは工場の検査工程で使う画像認識技術に強みを持っており、必要な研究開発体制を整え、技術者を確保してきた。

 ところが近年、AIの適用分野が広がってきた。例えば血圧計だ。「血圧計などがネットワークにつながるようになり、利用者の健康状態に関するデータを蓄積できるようになった」。これらのデータの解析技術を開発するために、AIに強い技術者が以前より必要になってきたというわけだ。

 AIの適用分野として新市場も立ち上がりつつある。自動運転が代表格だ。「自動運転の実現に向け、技術者は自身が持つ技術を上手く生かすチャンスだ」(浜崎課長)。

 同社も自動運転の普及を見据え、運転手の状態を判断するセンサーの開発を進めている。2017年9月に「ドライバー見守り車載センサー」を開発したと発表した。運転手を撮影した映像から、必要な情報を抽出したうえでディープラーニング(深層学習)を適用。自動運転から手動運転に移行できるかを、運転手の目の開閉状態や視線の方向などから判断する。

2017年9月に発表したドライバー見守り車載センサー。画像は開発中のデモ機
出所:オムロン
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 こうした新しい領域で技術開発を進めるのにもAI人材の確保が欠かせない。広がる新市場で新製品や新技術を生かしたい――。AI人材の採用を全社プロジェクトとして打ち出した理由はここにある。

 人材に対して魅力をアピールする切り札と見込むのが、FA(ファクトリーオートメーション)やヘルスケア事業などで収集できる大量のデータだ。これらを使って世界最先端の研究開発ができるとAI人材にアピールする。実際、「データが決め手となり、たとえ年収が半分になっても構わないと入社を決めた技術者もいる」と浜崎課長は話す。

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