五輪開催の2020年を前に激変する拠点エリアの様子を、日経BPムック「東京大改造マップ2018-20XX」で実施したプロジェクト調査を基に探る。ここでは「渋谷」エリアをピックアップ。現在進行中の大規模案件(延べ面積1万m2以上)を中心に追い、近未来の姿を先取りしてみよう。

エリアの性格:「谷」を中心に全方位で更新期に

 エリアの開発を主導する東京急行電鉄が長年、グループ各社と共に渋谷駅周辺の多彩なプロジェクトを推進してきた。

 同社が2000年に渋谷マークシティ(東京地下鉄、京王電鉄と共同)、01年にセルリアンタワーを完成させたのが幕開けとなる。03年には象徴的な存在として親しまれた東急文化会館(1956年開業)を閉館し、その跡地には12年に渋谷ヒカリエが完成している。前後して、駅周辺の大改造が本格化した。

 街は、台地に囲まれた「谷」の底に広がっている。その中心部である駅周辺以外にも、例えば北側の坂の上のエリアでは、渋谷の文化をけん引したパルコや行政の中心である渋谷区役所が工事中。NHK放送センターも十数年をかける建て替えの準備に着手した。広域で類例のない更新期に入っている。

渋谷スクランブルスクエア、渋谷ストリーム、道玄坂1丁目駅前地区再開発など渋谷駅周辺の建設地を西側から見下ろす(写真:大山顕)
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宮益坂下交差点の前から、渋谷スクランブルスクエア(右手前)および渋谷ストリーム(奥)などの方向を見る。1年前の前回版「東京大改造マップ」時点では渋谷スクランブルスクエアは地下部分の工事の最中だった。また、その名称は17年8月に発表されたものだ(旧呼称は「渋谷駅街区開発計画」)(写真:大山顕)
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渋谷エリアの大規模開発マップ。「東京大改造マップ2018-20XX」より(資料:日経アーキテクチュア、ユニオンマップ)
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2020年に向けて:230mの超高層が先行で開業

 駅の南側の渋谷川沿いに18年、渋谷ストリームが完成する。オフィスには米IT大手・グーグル(Google)の日本法人が入居を予定し、話題を呼んでいる。東急グループ関連では、駅街区の開発である渋谷スクランブルスクエアのうち、東棟が先行して19年度に完成する。エリア最高となる約230mの超高層タワーが姿を現す。

 これらと連動し、区による大規模再開発も進行している。渋谷区役所建て替えプロジェクト(庁舎・公会堂部分)が19年に完了するほか、新宮下公園等整備事業では約1万m2強の都市型立体公園が20年に完成。同公園は、大規模駐車場、商業施設、宿泊施設の複合型として生まれ変わる。

渋谷区内で進行中の主要大規模開発プロジェクト
「東京大改造マップ2018-20XX」で調査対象となった渋谷区内の大規模開発プロジェクト(延べ面積1万m2以上、全22件・総面積125万291m2)のうち、延べ面積3万m2以上のものを挙げた。色付きのセルは「東京大改造マップ」で紹介しているプロジェクトで、本記事はこれに基づいている。なお、渋谷エリアの紹介に関しては、区内の原宿、港区の青山なども対象にしている。新宮下公園等整備事業の総面積は調査時点で未公表だったため、計算から除外している(資料:日経アーキテクチュア)
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2019年完成予定の道玄坂1丁目駅前再開発。「東京大改造マップ2018-20XX」より。1.渋谷区道玄坂1 2.道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合 3.清水建設、マスターアーキテクト:日建設計、デザインアーキテクト:手塚建築研究所 4.清水建設 5.2016年3月 6.2019年秋 7.S造、一部SRC造・RC造 8.地下4階・地上18階 9.5万8970m2。1~9の説明は本ページ本文末尾に記した(資料:日経アーキテクチュア)
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2020年を超えて:立体的な歩行者網で結ばれる都市に

 JR、東急東横線、東京メトロの複数路線が集まる一大ターミナル駅周辺の開発が、100年に1度といわれる規模で進行する。区は17年3月に、17~26年度の10年間にわたる長期基本計画を公表した。ファッションやデザインなど既存産業のほか、創業や新規事業展開に対しても支援強化が必要とし、若手人材の育成のためにインキュベーションの拡充を図るという目標を掲げている。完成するプロジェクトの多くが、こうしたビジョンに沿っている。

 23年度には渋谷駅桜丘口地区再開発が完成し、総仕上げとなる渋谷スクランブルスクエアの全体の完了は27年度となる。「谷」の高低差を生かし、主要プロジェクトの間は立体的な歩行者ネットワークで結ばれる。

渋谷スクランブルスクエアなどが完成した後の渋谷のイメージ(出所:東京急行電鉄)
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 次ページ以降では、渋谷エリアで進行している大規模開発プロジェクトのうち13件を完成間近のものから順に詳しく紹介する。キャプションで示す各データは「1.所在地 2.発注者、事業者 3.設計者 4.施工者 5.着工時期 6.竣工・完成時期 7.主構造 8.階数 9.延べ面積」を示している。なお主構造の項目に記載しているRC造は鉄筋コンクリート造、S造は鉄骨造、SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造の略。

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