AR/VR×医療(上)
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 認知症や統合失調症の患者の視点に立って、彼らが暮らしやすい施設や社会を作るためには、認知症や統合失調症の症状を理解しておくことが望ましい。だが、健常者が座学や書籍で学んだだけで、彼らが日々悩まされている症状を正しく知ることは難しい。

 そこで、高齢者住宅を運営するシルバーウッド(東京都港区)は、認知症患者の視界を再現するVR(仮想現実)コンテンツ「VR認知症プログラム」を開発した。HMD(ヘッドマウントディスプレー)のVR映像を使って空間認知能力に問題を抱えた認知症患者の「世界の見え方」を再現し、彼らの症状を健常者に疑似体験させるものだ。

 例えば、自動車の後部座席から降りるという日常的な行為も、空間認知能力が低下した認知症患者にはビルの屋上から飛び降りるように感じられる。VR認知症プログラムは、認知症患者の実体験や有識者の知見に基づいて、こうした認知症患者の症状を没入感のあるHMDの3D空間に再現する。

空間認知能力が低下した認知症患者が自動車の後部座席を降りるときの空間の見え方
出所:シルバーウッド

 米Johnson & Johnsonグループの製薬企業、ヤンセンファーマ(東京都千代田区)も、統合失調症の幻覚を疑似体験する「バーチャルハルネーション」を疾患啓発サイト「メンタルナビ」を通じて提供している(メンタルナビ)。バーチャルハルネーションはもともと2DアニメーションのCG動画だが、現在は段ボール製のVRビューワーを使って没入感を高めた360度コンテンツもある。こちらは同社のMR(医療情報担当者)が医療機関を訪れた際、医療従事者に疾患への理解を深めてもらうために使用しているという。

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