戸建て注文住宅を新築する顧客は「口コミ情報」を重視――。昔からあるといえばある傾向ですが、近年はその実相が大きく様変わりしています。背景にあるのは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめとするインターネットを介したコミュニケーションの浸透。口コミとは本来、知人や親戚といったリアルな人間関係をベースにした情報の伝達経路でした。しかし今日はインターネット経由で、お互いの名前すら知らない人同士が広く情報をやり取りできる環境が既に定着。口コミ交換サイトなども活用されています。

 こうした現在の状況は、誰でも気軽に情報を収集・発信できる便利さの一方で、住宅会社側の考えや実態と異なる情報・評判が広がりやすいといったリスクもはらんでいます。いずれにしても口コミが住宅会社にとって、いつの時代も気になる情報であることは変わりないでしょう。日経ホームビルダー5月号の特集「建て主600人に聞いた住宅会社の“噂”の裏側」では、こうした住宅会社の評判に関する顧客間のコミュニケーションに着目。独自調査の結果から見えてきたポイントを分かりやすく整理しました。

「建て主600人に聞いた住宅会社の“噂”の裏側」(資料:日経ホームビルダー)
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 この調査(インターネット調査)ではまず事前に、家づくりの際に住宅会社探しから完成後の維持管理に至る過程で口コミ情報を活用した2861人を抽出。建築時期が2014年以降だった回答者と、13年以前だった回答者とで振り分けると、活用姿勢に明確な違いがありました。建築時期が14年以降の回答者では「活用した」と答えたのが各年ベースで全体の6割弱から7割弱の範囲。これに対して、13年以前の回答者合計ではわずか3割弱でした。顧客が意思決定で口コミを重視する傾向は、ここ数年でいよいよ高まっているとみられます。

 さらに、建築時期が14年以降の回答者618人を対象に実施した本調査の結果からは、口コミ情報の扱い方に関する今どきの顧客の傾向が読み取れます。例えば、活用のタイミングについて全体の9割超が「契約前」と答え、約7割が「依頼先の選択に影響した」と回答。「良い評判や情報」と「悪い評判や情報」は、いずれも8割近い回答者が「調べた」と答えています。回答者の自由記述に照らすと、悪い話であっても単にふるい分けるための情報としてだけでなく、「許容できる範囲か否か」を見極めたり、未然に策を講じたりするために調べているようです。情報との付き合い方で、顧客も着実に習熟してきていると言えるのかもしれません。

 特集ではほかにも、「プランや設計力」「アフターサービス」「施工力」「営業スタッフ」など、口コミ活用を通じた今どきの顧客の本音に様々な角度から迫っています。5月号には、恒例の連載「クレームに学ぶ!」と「建て主の本音」も掲載していますので、特集と合わせて読んでいただければ新たな発見があるかもしれません。

 5月号では、住宅の有望市場をテーマにまとめたリポート「じわり広がる平屋人気」も注目です。

 戸建て住宅の市場が縮小するなかで、平屋の需要が拡大しており、従来のシニア層だけでなく、最近はコスト重視の若年層でも選択する顧客が増えています。大手ハウスメーカーが先んじるなかで、地域密着型の住宅会社がこの分野に本格参入するケースも目立ち始めました。こうした現状を紹介しています。

出典:日経ホームビルダー、2019年5月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。