前回、本コラムでお知らせしたとおり、日経ホームビルダーでは耐力壁におけるくぎのめり込みが強度に及ぼす影響を実験によって確認し、2019年2月号にその結果を掲載しました。特集「耐力壁で実大実験 くぎのめり込みが危ない」です。

日経ホームビルダー2019年2月号の特集「耐力壁で実大実験 くぎのめり込みが危ない」(資料:日経ホームビルダー)
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 実験では大手合板メーカーのセイホクの神谷文夫技師長に監修していただき、ポラス暮し科学研究所の協力を得ました。実物大の面材耐力壁を製作し、静的加力試験を実施したところ、貴重な知見が得られました。

 木造戸建て住宅の建設現場では、構造用の面材にくぎを打ちつける際にめり込みが生じるケースがあります。一部の住宅実務者は、そのめり込みが耐力壁に悪影響を与えるのではないかという懸念を抱いていました。

 ところが、そうしためり込みがもたらす影響を具体的に示す資料を探しても見当たりませんでした。そこで、実務者の疑問に答えるべく、独自の実験を行うことにしたのです。

 実験結果の詳細は特集記事で確認していただきたいのですが、簡単に結論を申し上げると、くぎのめり込みは耐力壁の品質に影響します。しかも、その程度は決して小さくありません。記事をお読みいただければ、くぎ打ちの品質管理を適正に行う重要性や、余裕を持たせた設計の大切さを、改めて感じていただけるのではないかと思います。

 家づくりに熱心な建て主は着実に増えています。今後、施工中のくぎのめり込みを気にする顧客も出てくるでしょう。特集記事のデータは、こうした顧客に対して品質を説明する際にも役立てられる材料になるはずです。

 日経ホームビルダー2月号では、木に関連した先端技術を紹介するリポート記事「先端材料に変わる木」も用意しました。国内には林齢50年以上の人工林が数多く存在します。大径木に育ったスギは有り余るほど存在するにもかかわらず、活用が十分に進んでいません。

 しかし近年、こうした資源を生かそうという機運が生まれ、木が持つ特性に注目が集まってきました。そして、木という材料の活用や技術開発が様々な産業で進められています。その動きは建設会社や建材メーカーといった領域だけでなく、自動車をはじめとする工業製品を扱う企業にも広がりつつあるのです。

 リポート記事では、そうした動きを具体的な技術を基に解説しながら、木材を巡る独自の業界地図を作って紹介しています。技術者の知的好奇心をくすぐるだけでなく、今後の業務のヒントになるような新しい木の技術を知っていただけるのではないかと思います。

 2月号の冒頭で紹介するニュースの深層「崖地の住宅で初の行政代執行」では、横浜市が建築基準法違反を理由とした初の行政代執行に踏み切った事件を報じました。施工中に3度も地盤が崩落する難しい現場を舞台とした出来事です。

 取材で浮かび上がったのは、崖の崩壊を何度も招いた施工管理の甘さです。地震や豪雨が身近なリスクとなっている今、軽視できない問題です。市は事業者などに設計や施工の費用として約1億2000万円を請求する予定ですが、事業者側は異議を申し立てる意向を示しています。詳しい内容は、記事でお確かめいただければと思います。

出典:日経ホームビルダー、2019年2月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。