北海道、南幌町、北海道住宅供給公社は、南幌ニュータウンみどり野に「きた住まいるヴィレッジ住宅展示場」をオープンしている。「きた住まいる」のメンバー5組が手がけた5棟のモデルハウスを2018年10月末まで公開する。きた住まいるとは、北海道が定めた家づくりのルールを守る住宅事業者を道が登録・公開する制度。

南東から見た「きた住まいるヴィレッジ住宅展示場」のパース図。それぞれの敷地は区画を千鳥模様に使い、間の一区画分の空地をコモンスペース的に活用する。左側奥のモデルハウスは未着工(資料:北海道)
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 北海道は14年に、きた住まいる制度を設け、安心で良質な家づくりができる住宅事業者を「きた住まいる」メンバーとして一般に公開してきた。登録住宅事業者は245社(18年8月14日時点)。北海道内の年間着工棟数3棟以上の住宅事業者約600社のうち、50%以上の登録を道は目指している。

 メンバー登録の条件は、家づくりにおいて、断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上、劣化対策等級3以上、耐震性能が新築で平成12年(2000年)基準以上をクリアし、北海道独自の断熱施工技術者資格認定制度「BIS」「BIS-E」の取得者が設計・施工を行うこと、住宅履歴を保管すること。メンバーが建てた住宅の省エネ性能や設計の特長などは、「住宅ラベリングシート」で確認できる。

 展示場がある南幌町は札幌市から自動車で約40分の郊外に位置する。農業が中心の田園地域だ。南幌ニュータウンみどり野は74年から北海道住宅供給公社が宅地分譲を行っており、全2448区画の宅地のうち、17年度末時点で673区画が残っていた。きた住まいるヴィレッジ住宅展示場はその一角を使ってモデルハウスを展示。公開後は一般に販売する。

きた住まいるヴィレッジ住宅展示場。各モデルハウスでは、北海道大学大学院の菊田弘輝准教授が温熱性能を測定する(写真:北海道)
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 展示を通じ、北海道はきた住まいるの普及と消費者への認知拡大、南幌町は地域定住の促進、北海道住宅供給公社は新しい手法による宅地の販売促進などを目指す。南幌町は新定住者に向け、子育て世代と高齢者に土地価格を割り引いたり、南幌町子育て世代住宅建設助成事業として最大200万円の助成金制度を設けたりしている。

 きた住まいるヴィレッジ住宅展示場は、16年7月に北海道から委託を受けた日本建築家協会北海道支部が中心となってコンセプトをつくり、同12月にモデルハウスを建てる事業者を道が公募した。17年7月に建築家と地域工務店の協働チーム6組が決まり、基本方針やデザイン・ルールなどを定めた。

 6組の事業者と、北海道、南幌町、北海道住宅供給公社、オブザーバーとして北方建築総合研究所と北海道ビルダーズ協会、アドバイザーとして日本建築家協会北海道支部が連携し、18年6月に5棟のモデルハウスをオープンした(1棟は未着工)。北海道はラジオのCM、雑誌や新聞の広告、バスツアーなどを企画して展示場をピーアール。オープンイベントには約1200人が集まり、月間来場者数は400人程度となっている。

 モデルハウスはいずれも外皮平均熱貫流率(UA値)が約0.2。きた住まいるが求める性能基準よりも高い。今回のモデルハウスのように、きた住まいるが定めた基本性能より高いレベルの住宅性能を確保し、先進的な家づくりに取り組むきた住まいるメンバーの住宅ブランドを「きた住まいるブランド住宅」として道が登録する制度の運用もスタートしている。

 公開した5棟のモデルハウスを、住宅ラベリングシートと合わせて紹介する。文中の販売価格は土地代、消費税込み。

南幌まちなかの家
施工:アシスト企画、設計:山本亜耕建築設計事務所

東南側道路から見た外観(写真:北海道)
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 M形の特徴的な屋根は、無落雪仕様であると同時に、限られた室内空間を上方向に拡張する目的で採用した。シート防水を施し、雨水は水平部の軒先から樋で受け、そのまま地盤に浸透させる。

西側から見た入り口まわり(写真:北海道)
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 入り口まわりには屋根付きカーポート、屋内と比べて断熱性能を低く設定した冷温庫兼半屋外物置を設置した。冬季に食品を冷温保存する。

 屋根勾配に沿って傾斜する2階の天井は、室内の照明の反射板の役目も果たす。夜間は前面道路に光を落とす辻あんどん的な機能で、地域住民の安全・安心に貢献する。

北東側の外観(写真:北海道)
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 南幌町は1年を通して強い風が吹き、冬と夏で風向きが逆転する。通年で風の影響を受けない北東側にパッシブ換気の給排気口を設けた。

大きな土間がある玄関(写真:北海道)
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 玄関に連続して、長靴や防寒着のための広めの土間収納スペースを設けた。階段吹き抜けの横の床スリットを通して、2階リビングから玄関の様子をうかがうことができる。夜間は2階の光がスリット越しに1階に漏れる。

西南に向いた縦格子付きのテラスをリビングから見る(写真:北海道)
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 フローリングと階段には北海道産のシラカバ材を使用した。

 公園に向いた眺望の良い方向にテラスを配置。西日対策と前面道路を歩く人の視線をコントロールするため、テラスには縦格子を設けた。テラス左右の袖壁は季節によって風向きが変わる南北からの風の吹き込みを防ぎ、リビングに連続する快適な半屋外空間を実現する。

 まきストーブは「温かさ感」の演出装置で、本来なら暖房器具としては必要ない。冬季、室外はマイナス20℃になることもあるが、暖房器具を設置しなくても、建物の床下外周部に巡らせた4本の温水管だけで室内は十分に快適となる。

 販売価格は3000万円。

2階平面図(資料:北海道)
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1階平面図(資料:北海道)
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住宅ラベリングシート(資料:北海道)
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