先日、橋の維持管理などを手掛ける建設コンサルタント会社や測量会社の技術者の方々に、現状の業務における困り事を伺う機会がありました。その中で多かった声の1つが、点検した橋の健全度の判定が難しいということでした。

 判定を支援するための基準などは出ていますが、実際の現場で生じている劣化状況は千差万別。教科書通りの類型が簡単ではないからです。

 この点だけを見ても、橋のメンテナンス業務の難度の高さが推察できます。日経コンストラクション2019年11月25日号の特集「これではまずい、橋の診断・補修」では、橋の点検や診断、補修業務における課題と対応策を丁寧に取材しました。

日経コンストラクション2019年11月25日号の特集「これではまずい、橋の診断・補修」(資料:日経コンストラクション)
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 技術者は点検結果を診断する際の判定に悩むと、“見逃し”のリスクを回避するために、劣化の程度がよりひどい区分として診断しがちです。特集の取材でも、健全度IIIと判定されていた橋の健全度を精査すると、実はIのレベルだったという事例を紹介しています。

 難しいのは劣化の程度の判定だけではありません。そもそも通常では考えられないような変わった構造を持つ橋が、実際の道路橋としてあちらこちらで供用されている事実も技術者を悩ませています。主要構造部材の大半をH形鋼で組んだ橋や、舗装と床版の間に分厚い砕石層を設けた橋など事例は枚挙にいとまがありません。

 単純にマニュアルに沿うだけでは、こうした橋の点検や診断をこなすのは至難の業でしょう。現場に立つ技術者が、材料や構造の本質を見抜き、対処すべき項目をケースバイケースで判定していかなければなりません。

 昨今、ドローンをはじめとするロボットやAI(人工知能)によるデータ解析などをフル活用して、異常の把握や診断を進めようという動きが出てきました。こうした動きは、大量のインフラ管理に忙殺される施設管理者や、それを支援する建設コンサルタントなどにとって、大きな力になっていくと考えられます。