台風19号とその後の大雨は、東日本などで非常に大きな被害をもたらしました。復旧が着実に進んでいる場所もあれば、あまりにも被害が甚大で対応に苦慮する場所もあります。インフラは一朝一夕で完成するものではなく、長い年月を経てようやく整備できるもの。一度失われた機能の回復は難しく、その重要性を改めて一般の市民も痛感したのではないでしょうか。

 日経コンストラクション2019年11月11日号の特集「台風19号、水難の教訓」では、台風19号がもたらした被害を詳細にリポートするだけでなく、被害から浮かび上がった課題にも着目しました。河川堤防、橋、斜面、下水道といったインフラごとに被害の状況やメカニズムなどを解説するとともに、甚大な被害を招いた背景にも迫りました。

日経コンストラクション2019年11月11日号の特集「台風19号、水難の教訓」(資料:日経コンストラクション)
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 例えば、河川堤防。決壊が相次いだ堤防では、既に計画高水位に対して必要な高さと断面を持つ「完成堤防」となっていたケースが少なくありませんでした。台風19号がもたらした雨量が多かったといえばそれまでですが、そもそもこれまでの整備計画では対応が難しくなっている実情が改めて突き付けられたともいえます。

 国土交通省が設置した検討会では、今後の治水計画で気候変動を考慮した将来の降雨予測を取り入れるよう提言しています。ただ、線としての整備が必要な堤防の仕様見直しなどが生じても、その実現には相当の時間を要するでしょう。多様な方策と組み合わせなければ、今後も頻発の恐れがある大雨に、迅速に対応していくのは難しいとみるのが自然です。

 橋に目を向けると、台風19号がもたらした大雨で増水した河川では、数多くの落橋が発生しました。橋台の背面にある盛り土を、増水した河川の水が削り取ってしまった点が一因だとみられています。

 この部分は、橋を建設する技術者と堤防を整備する技術者との境界領域にあり、十分な対策が講じられにくい場所だと指摘する専門家もいます。実際に多くの橋では、橋台の背面盛り土の崩壊を防ぐための対策が十分に進んでいません。