建設産業界では若手の人手不足や工事現場での技能者の高齢化などが、よく話題に上ります。人員や人材の不足という大きな課題を背負いながら、現在の建設産業界を中心となって支えているのはベテランの人材です。しかし、その活躍はあまり表に出てきません。

 そこで、日経コンストラクション2019年10月14日号では、ベテランに焦点を当てた特集「突破するベテラン」を企画しました。文字通り、従来の常識やこれまでの仕事の進め方などを見つめ直し、変革を実現しようと奮闘する技術者たちを取り上げました。

日経コンストラクション2019年10月14日号の特集「突破するベテラン」(資料:日経コンストラクション)
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 特集記事では、この国のインフラを支え、そのための方法を革新するためにまい進する9人の技術者を取材しています。所属は建設会社、建設コンサルタント会社、発注機関と様々ですが、技術者たちには、仕事に取り組む姿勢にいくつかの共通点があります。

 まずは、自分の仕事を究めたいという思いだけで動くのではなく、社会への貢献、若い世代のための労働環境改善、組織の成長といった他者への配慮を強く意識している点です。これは、特集で取り上げた技術者たちが取り組む困難な業務をやり遂げる原動力となっています。

 世の中には、自らの環境に不平ばかりこぼし、行動が伴わないベテランも少なくないでしょう。こうした人材は、自らの生産性を下げてしまうばかりでなく、周囲の人間のやる気もそいでしまいます。

 しかし、特集で取り上げた技術者たちは違います。直面した問題や課題を解決するために、自ら動く実行力を持っています。例えば、特集記事で紹介した高速道路会社の技術者は、自ら率先して「トンネル構造物漏水対策ガイドライン」を整備しました。誰かからの命令を待つのではなく、率先して業務改善に向けた取り組みを進めたのです。

 増大していく老朽インフラに備えて若い世代が合理的な維持管理ができるよう改め、今後の労務環境を整えて働き方改革を実現しようという思いも込められています。