関西国際空港が1994年(平成6年)、東京湾アクアラインが97年(平成9年)、明石海峡大橋が98年(平成10年)。平成初期には数々のビッグプロジェクトが竣工しました。しかし、2000年代に入ってからは、あの頃のようなビッグプロジェクトの建設ラッシュが訪れることはありませんでした。

 では、今年から始まる「ポスト平成」時代。もうビッグプロジェクトは実現しないのでしょうか。それを探るため、日経コンストラクション1月28日号では、特集「狙え! ポスト平成のビッグプロジェクト」を企画しました。

日経コンストラクション1月28日号特集「狙え! ポスト平成のビッグプロジェクト」から
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 月面実験基地、海中都市、地下飛行場――。1980年代後半から90年代前半にかけて、多くの建設会社は宇宙や深海、地底などを舞台にした様々なプロジェクト構想を発表しました。しかし、ほどなくしてバブル経済が崩壊します。ニーズが見えず、実現への技術的なハードルがあまりに高いそれらの構想は、夢物語に終わりました。

 ところが、最近は状況が変わってきました。宇宙は国の威信をかけて探索する時代から、民間企業が小型の人工衛星を打ち上げる時代へと変わっています。資源探査や研究施設の建設のために、深海や地底に構造物を造るニーズも出始めています。他方、新素材やICT(情報通信技術)、コンクリートの高度な施工技術などによって、技術的な実現性は高まってきました。ニーズとシーズが出そろったことで、バブルの頃の「夢」は、いまや目の前にある「目標」になりつつあるのです。

 例えば宇宙開発。参入しているのは大手建設会社だけではありません。橋梁メーカーの釧路製作所(北海道釧路市)は、鋼橋の製作技術を生かして、ロケット発射基地の建設に挑んでいます。同社は、実業家の堀江貴文氏が参画することでも知られるインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)から、ロケットの発射基地や組み立て工場の建設を受託。2018年12月には、ロケットを背面から支える「縦吹き架台」と呼ぶ装置を製作し、実験用ロケットを立ち上げることに成功しました。

 かつて「夢物語」だった時代は、ある意味、構想をぶち上げることに価値がありました。しかし、具体的なニーズが出てきた今、求められるのは技術的な裏付けです。自社で培ってきた“地道な”技術の積み重ねが、宇宙や深海、地底といった新たな市場をつかむ武器となり得るのです。ビッグプロジェクトを実現する技術シーズは、意外なところに埋まっているかもしれません。

出典:日経コンストラクション、2019年1月28日号
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