10年前の業況は「背水」「逆風」

 11年に東日本大震災が起こる前は、民主党政権だけでなく自民党政権の下でも公共事業の予算の前年割れが続く時期があった。

■国の公共事業関係予算額の推移
平成9~31年度に相当する。2009年度の予算額は執行停止分を含まない。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 日経コンストラクションが毎年掲載している建設会社と建設コンサルタント会社の決算ランキング特集のタイトルは、10年ほど前は「“背水”の人材戦略」(08年9月12日号)、「逆風下の選択」(09年9月11日号)と悲壮感に満ちて、当時の業況を伝えている。土木界にとって、平成はバブル景気に浮かれた最初の数年間を除くと、経済的な冷え込みのきつい時期が長かった時代と言えるだろう。

 近年の業況の好転で社員、職員の新卒採用を大幅に増やすことはできても、彼らの育成で中心となる中堅以下の人材の不足に悩む会社や官庁は少なからずあるに違いない。幸い、土木界には技術者が国家資格や民間資格の取得を目指して自学自習する人材育成のシステムがある。各社は若手の育成でこのシステムを大いに活用しているのではないか――。そのように推測して、19年版の「資格特集」に着手した。

 この推測はおおむね当たっていたようで、官民の取材先から多大な協力を得ることができた。国土交通省や高速道路会社、建設会社、建設コンサルタント会社に依頼して、資格の取得をきっかけに目覚ましく成長した若手の技術系職員または社員を推薦してもらった。

 最終的に記事中に登場した若手技術者は16人。32.8歳という平均年齢から、取材を受けるのは初めてという技術者も多かったのではないかと推察されるが、資格試験の口頭試験対策などで鍛えられているせいか、自信と説得力に満ちた対応ぶりだった。土木界は今後、彼らが教える側の中心となって、平成という時代が残した世代の断絶という重要な課題に取り組むことになるだろう。

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