横浜市のポスト五輪事業の目玉である現横浜市庁舎街区の活用事業が動き出した。2020年6月に予定している庁舎移転後、JR関内駅前が様変わりする。村野藤吾が設計を手掛けた庁舎のうち、行政棟をホテルとして保存活用しながら、超高層ビルなどを新築する計画だ。24年6月にホテルを先行開業し、25年春の全面開業を目指す。市は19年9月4日、活用事業者を決める公募型プロポーザルで三井不動産を代表とするグループを選出したと発表した。その提案内容を読み解こう。

三井不動産を代表とするグループが提案した現市庁舎街区の活用イメージ。同街区は商業地域で、指定容積率は800%。横浜市が実施した公募型プロポーザルには3者から応募があった。次点以降は非公表(資料:三井不動産)
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1959年に竣工した横浜市庁舎。指名設計競技で選ばれた村野・森建築事務所が設計を手掛けた(写真:横浜市)
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 現横浜市庁舎の行政棟と市会1号棟が竣工したのは1959年。その後、市会2号棟、同3号棟、中庭棟を段階的に増築してきた。このうち行政棟と市会1号棟は、指名設計競技で選んだ村野・森建築事務所が設計した。市会棟(1号棟~3号棟)では2002年に、行政棟では09年にそれぞれ耐震補強工事を実施。行政棟には、既存建物の基礎部分に免震装置を組み込む免震レトロフィットを採用したため、元の外観・内観を継承している。

現横浜市庁舎の構成。村野藤吾が設計を手掛けた行政棟と市会1号棟が1959年に竣工し、順次増築してきた。行政棟、市会棟はいずれも耐震補強工事を実施済みだ(資料:横浜市)
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横浜市庁舎の現況。JR関内駅の北側に立つ。現在の建物は事業者に譲渡する(写真:横浜市)
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 市は、現市庁舎の保存活用について、17年3月にまとめた「横浜市現市庁舎街区等活用事業実施方針」の中で、次のような方向性を示していた。(1)行政棟は活用を基本としつつ、「横浜らしい街並み景観の形成」および「地区の活性化」などに資する提案があれば柔軟に対応する、(2)市会棟・市民広間などについては活用または解体して新築棟を整備するなど、地区の活性化と魅力向上につながる様々な提案を求める――。

 実施方針の中で、市民広間を含む市会棟の解体を視野に入れたことについて日本建築学会は17年12月、「建物の歴史的価値が十分に理解されていない状況が危惧される」などと指摘。行政棟、市会棟、市民広間の3棟一体での活用を求める要望書を提出した。これに対して市は18年1月、方針は変えず、周辺地区に対する波及効果の高い提案を評価する旨を回答していた。

現在の「市民広間」。2層吹き抜けの大空間で、壁面は彫刻家の辻晋堂によるレリーフで覆われている(写真:日経アーキテクチュア)
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