約4年間の建て替え工事を経て本日、2019年9月12日に開業する「オークラ東京」。建築家・谷口吉生氏を中心とする設計チーム(大成建設、谷口建築設計研究所、観光企画設計社、日本設計、森村設計、NTTファシリティーズ)が再現した旧本館のロビーや、新ホテルを含む「オークラ プレステージタワー」については様々なメディアがすでに報じている(例えばこちらの記事)。だが、歴史的価値の高さの割にあまり取り上げられていないのが、敷地内の南西角にある「大倉集古(しゅうこ)館」だ。

プレステージタワー(高層棟)の立つ東側から見た外観(写真:日経アーキテクチュア)
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 大倉集古館は明治から大正時代にかけて活躍した実業家・大倉喜八郎(1837~1928年)が設立した日本で最初の私立美術館だ。喜八郎が生涯をかけて収集した日本・東洋各地域の古美術品と、跡を継いだ大倉喜七郎(1882~1963年)が収集した日本の近代絵画などを収蔵・展示する。美術品約2500点の中には国宝3点、重要文化財13点が含まれる。

 収蔵品も一流だが、この記事でお伝えしたいのは建物自体の魅力だ。

敷地南側の道路から入ると、左手すぐのところに大倉集古館は立つ。右に立つのはヘリテージウイング(中層棟)(写真:日経アーキテクチュア)
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 大倉喜八郎は東京の赤坂自邸内に美術館を建て、大正6(1917)年にそれを財団法人化して大倉集古館とした。日本で最初の私立美術館とされる。しかし、大正12(1923)年の関東大震災により、当初の建物と陳列中の所蔵品を失った。残された作品を中心に、建築家・伊東忠太の設計による鉄筋コンクリート造・地上2階建ての陳列館を新築。昭和2(1927)年に竣工し、翌昭和3(1928)年に再開館したのが現在の建物だ。1998年には国の登録有形文化財となった。

 大倉集古館はホテルの建物(旧本館)が解体工事に入る1年以上前の2014年4月から休館し、改修工事を進めていた。ひき家(や)で位置をずらした上で、地下スペースを増築する大改修工事だ。

ひき家を実施して、敷地の外側(写真左下)方向に5mほど位置をずらした。施工は大成建設。2016年6月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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ひき家工事の様子。2016年6月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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ひき家工事の様子。2016年6月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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位置をずらしただけでなく、地下室の増築と免震化の工事も実施している。免震のエキスパンションジョイント部分には床石のパネル(写真左端)が敷かれている(写真:日経アーキテクチュア)
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 5年にわたる工事を経て、オークラ東京とともに本日、2019年9月12日にリニューアルオープンする。

新たに設けられた地下スペース。ショップや映像資料コーナーなどがある。免震層は地下室の下にある(写真:日経アーキテクチュア)
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