東京都渋谷区の外郭団体である渋谷未来デザインは9月13日、区内で「代々木公園スタジアム構想」を発表した。現在は野外ステージや球技場などのある代々木公園B地区に、「スポーツとエンターテインメントの聖地」を目指し、都市防災拠点を兼ねる場所として3~4万人規模の多目的スタジアムの建設を提案するものだ。完成の目標は、2027年。

渋谷未来デザインが発表したパース。現時点でのイメージで、「今後構想が具体的な計画に発展した段階で、しかるべき検討体制の下で設計を行う」としている。3〜4万人を収容できる規模を想定。都立公園内のため、規制緩和の措置がなければ成立しない。現在は野外ステージや球技場のある地区で、緑地を削らずに済む(資料:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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 渋谷未来デザインは、渋谷区のほか、NTTドコモ、ソニー、東急電鉄(東京急行電鉄)などが出資し、今年4月に設立した産官学民連携の一般社団法人。渋谷の未来像のデザインや社会的な課題の解決を目的に活動する。同法人理事で、渋谷区観光協会代表理事の金山淳吾氏がスタジアムパークの構想を発表し、ボール競技12リーグが参画する日本トップリーグ連携機構会長の川淵三郎氏、コンサートプロモーターズ協会会長でディスクガレージ会長の中西健夫氏などのゲストが、同構想に対する期待を語った。

多様な人が混じり合う「スタジアム+公園」に

 名称は「スクランブルスタジアム渋谷」。金山氏は冒頭で、森林に囲まれる公園の自然環境との共生、既存の広場のアクティビティである地域の催事や祭との共存などの要件を掲げた上で、スポーツ専用ではなく、エンターテインメント興行などにも対応する多目的スタジアムであると位置付けた。「代々木公園は国有地で、都が管理する場所。渋谷区のみならず、東京都、そして日本のシンボルプレイスにしたい」(同氏)

 さらに、フランスを拠点とする建築家、田根剛氏に依頼したイメージパースを示し、「東京の中で代々木公園を、21世紀の“森とスポーツとストリートカルチャーが集まる場所”にしたい」という、田根氏の思いも披露した。田根氏は、2012年開催の新国立競技場「国際デザイン・コンクール」で、1次審査を通過した11案のうちの1つを手掛けていた(8万人収容の全天候型が条件)。その際の緑に埋もれたスタジアム案(ドレルゴットメ・タネ/アーシテクト&アー+アーシテクチゥール案)を継承したものとなっている。

構想では、国立代々木競技場の西側のB地区を対象地としている。「国営の競技場はクラブのホームスタジアムにはなり得ないので、1万5000人以上を収容可能でナイター設備が整っている、というJリーグ(J1)の試合の開催条件を満たす施設は、いまだ東京23区内にない。Jリーグの発足前後にロンドンなどを視察して以降、なんとか23区内につくってほしいと願ってきた」と川淵氏は語る(資料:OpenStreetMap上に日経 xTECHが追記、(c) OpenStreetMap contributors)
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都心部の主要な大規模スポーツ施設、音楽施設を示した。中西氏は、「ここに来てライブ市場全体の売り上げが頭打ちになっている。明らかに施設不足が原因なので、渋谷に立地する本構想は非常に魅力的だ」と語る。1:NHKホール、2:国立代々木競技場、3:オーチャードホール、4:東京体育館、5:新国立競技場(建設中)、6:東京ドーム、7:日本武道館、8:サントリーホール、9:東京国際フォーラム(資料:OpenStreetMap上に日経 xTECHが追記、(c) OpenStreetMap contributors)
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 登壇者は、渋谷らしい多様性や、シビックプライド(市民が街に対して持つ誇り)の観点を強調した。名称にあるスクランブル(=混じり合う)も、周囲にある複数の駅からスタジアムまでの経路を含む街づくりを意識して選んだ言葉だ。

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