鳥取市は2023年を目標に、鳥取城跡の正面玄関部を幕末の姿に戻すための整備を進めている。その第1弾となる「擬宝珠(ぎぼし)橋」の復元事業が18年9月に完成した。1621年に創建した全長約37m、幅約6mの木橋で、架け替えや修繕を経て明治後期の1897年まで存続した。今回は、明治元年に架け替えた橋を忠実に再現。堀底に眠る遺構を傷付けることなく明治の木橋をよみがえらせるために、ある新素材を採用した。

明治初めに撮影された、鳥取城跡の正面玄関に当たる「大手登城路」の様子。手前が擬宝珠橋(写真:鳥取市)
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2018年に完成した擬宝珠橋。水面より上の木橋部分は、明治元年に架け替えた橋を忠実に復元した(写真:生田 将人)
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水中梁の上に木橋を載せる

 復元整備に先立って2011年に市が実施した発掘調査では、現地の堀底から、かつての擬宝珠橋の木製橋脚の基底部が69本検出された。鳥取市教育委員会文化財課の細田隆博文化財専門員は、「橋脚遺構の中には400年以上前の橋と思われるものもある。いずれも貴重で、遺物として取り上げることはせず水中で永久保存した」と話す。

架け替え前のコンクリート造の橋。2011年に実施した堀底の発掘調査の様子(写真:鳥取市)
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 遺構を保全しつつ、忠実に木橋を復元するために、もともとあったコンクリート製の橋脚と橋台に水中梁を架けて、その上に木橋を載せるという“二重橋”の構造を採用した。日本初となる工法だ(プロジェクトの概要は「“水中の最新技術”が支える木製復元橋」を参照)。

擬宝珠橋の3次元イメージ。撤去したコンクリート橋のうち、橋脚2基と橋台2基の基底部を、復元橋の基礎として再利用した(資料:戸田建設)
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水中梁の上に木橋を載せたハイブリッド構造の擬宝珠橋。水中梁の姿がうっすら見える。レンズにフィルターを付けて撮影した(写真:生田 将人)
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