前編「70年ぶりに復活した周遊船で琵琶湖疏水を行く」はこちら

中編「『疏水トンネル』で明治期にタイムスリップ!」はこちら

後編「築100年以上の鉄筋コンクリート橋群が迎える」はこちら

蹴上船だまりとインクラインの間に、台車に載った船が展示されている(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]

蹴上インクラインを歩く

 蹴上(けあげ)乗下船場周辺の岡崎・蹴上エリアには、琵琶湖疏水(そすい)の偉業を感じることのできるスポットが幾つか残されている。乗船時に渡された「乗船公式ガイドブック」を基に、それら明治期の遺構を巡ってみることにした。このガイドブックは、琵琶湖疏水にまつわる物語が分かりやすく、かつ詳述されており、読んでいてとても楽しい。

 もともと疏水船の復活プロジェクトは、大津と京都を結ぶことで周辺エリアの観光の活性化につなげることが狙いで、官民共同で取り組んできたものだ。疏水船を下りた後も観光を楽しめるように、広範囲の見どころを掲載している。

 乗下船場の近くの小さな公園には、21歳の若さで琵琶湖疏水の主任技師に抜てきされた田邉朔郎の銅像があった。右手には丸めた設計図が見える。

蹴上乗下船場近くの公園にある田邉朔郎の銅像(写真:大井 智子)
[画像のクリックで拡大表示]

田邉朔郎が自費で建立したという琵琶湖疏水工事の殉職者の碑。「一身殉事萬戸霑恩(いっしんことにじゅんじばんこおんにうるおう)」と刻まれており、17名の殉職者を慰霊している(写真:大井 智子)
[画像のクリックで拡大表示]

 銅像から歩を進めると、蹴上発電所送水鉄管が現れた。琵琶湖疏水の水を蹴上発電所に引き込むために造られた赤茶色の鉄管だ。観光客の散策コースからは外れているようで、ひっそりとした場所にある。ただし、実は隠れたビュースポットで、鉄管越しに京都の街が一望できる。

蹴上発電所送水鉄管。巨大な2本の鉄管が斜面に横たわる(写真:大井 智子)
[画像のクリックで拡大表示]

 再び蹴上乗下船場の近くに戻り、蹴上インクライン(傾斜鉄道)の上を歩く。蹴上の船だまりから南禅寺の船だまりまでの間は高低差が約36mあり、当時は船を台車に載せて運んでいたという。インクラインは1948年に休止したが、全長約582mのレールは残された。

蹴上インクラインに残るレールは長さ約582m。レールの上を歩く姿が映画「スタンド・バイ・ミー」を思い起こさせる(写真:大井 智子)
[画像のクリックで拡大表示]

インクラインのすぐ隣は、車の往来が激しい仁王門通(写真:大井 智子)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら