滋賀県の琵琶湖の水を京都に引き込む人工運河で、1890年に完成した琵琶湖疏水。周辺エリアの観光の活発化につなげるため、約70年ぶりに船を周遊させる試みが、2018年の春にスタートした。琵琶湖疏水には重厚な坑口デザインのトンネルや日本最古の鉄筋コンクリート橋など、明治期の土木構造物が満載だ。18年10月に「びわ湖疏水船」の下り便に乗船した様子を、前中後編と番外編でお届けする。

びわ湖疏水船の下り便。約1時間の船旅で、明治期の土木構造物の他、豊かな自然の景観を楽しんだ(写真:生田 将人)
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乗下船場で出迎える明治期の閘門

 10月半ばの快晴の朝、びわ湖疏水船の下り便に乗るために、大津乗下船場に向かった。京阪電気鉄道石山坂本線の三井寺駅から徒歩3分で、乗下船場にある大津閘門(こうもん)が見えてきた。石とれんがの造りで、琵琶湖疏水が竣工する1年前の1889年に完成した。

大津閘門。門扉を開閉して水位を調整することで船を行き来させていた。疏水船下り便の乗り場は、大津閘門の上を通って徒歩で向かう(写真:生田 将人)
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 びわ湖疏水船は、第1琵琶湖疏水の一部を運航ルートとしている。平均幅員約4.5m、水深わずか1.3m程度の小さな水路が、現在も京都に水と電力を供給する重要なライフラインとして機能している。

 疏水船の本格運航は、18年の春にスタートした。運航期間は、3~5月と10~11月。春の乗船率は98.1%と人気が沸騰し、急きょ秋の運航日を増やすなどしたが、既にこちらも完売した。

 人気を下支えするのが、明治期の一大土木プロジェクトの足跡を、生で感じることのできる体験の数々だ。コースは全長7.8km。その随所で、明治期の土木構造物が顔を出す。

 トンネル坑口にはいずれも重厚なデザインが施され、トンネル内では今もたて坑から湧き水が降り注ぐ(プロジェクトの概要は「復活した『疏水船』が伝える明治期の偉業」を参照)。

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