荒瀬ダム撤去における河川内での工事期間は、アユの生息環境を考慮して年間で3カ月半。6年間の工事期間中には、河川内で作業できない出水期を利用して、大幅な工法の見直しなども実施した。後編では、国内初のダム撤去を実現するためのポイントや、関係者の奮闘記についてお届けする。

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中編「『ダム撤去』で地域活性化」はこちら

 荒瀬ダム撤去における最終的な目標は、将来的にダム建設前の川の姿に戻すことだ。ダムが撤去された後の球磨川を下流側から眺めると、水の流れの中心となるみお筋が既に右岸側に形成されていることが分かる。

下流側からみた荒瀬ダム跡。写真左側の右岸側に流れの中心となるみお筋が既に形成されていた。川がカーブする内側の左岸側には砂州が広がっていた(写真:大井 智子)
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撤去前の荒瀬ダム。河川法によるダムの定義は堤高15m以上を指し、15m未満の構造物は堰と呼ばれる。荒瀬ダムの堤高は25m、堤頂長は210.8m。本格的なコンクリートダムの撤去は国内で初めてとなった(写真:森下 政孝)
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 現場に生息するアユの遡上時期に配慮して、河川内での撤去工事期間は、11月中旬から翌年2月末までの3カ月半に限られていた。ダムの撤去工事はフジタと中山建設(熊本県八代市)によるJVが担当した。

 当時、同JVの所長を務めたフジタ九州支店の宮地利宗氏は、次のように話す。「各年度の河川内での作業工期は非常に短かった。河川内で作業できない時期は、施工手順の見直しや工法の検討などを重ねて、発注者などと綿密に協議したうえで施工に臨んだ。不測の事態に備えて、工法も2手、3手と用意し、臨機応変に対応できるように調整した」。

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