建設業界で空前の盛り上がりを見せるAIの開発だが、決して順風満帆とは言えない。開発の途中でプロジェクトが頓挫したり、想定した結果が得られなかったりする事例が後を絶たない。AI初心者の会社が「現場で使えるAI」を開発するにはどうしたらいいのか。ロボットやAI開発を手がける知能技術(大阪市)の大津良司代表取締役に聞いた。

大津良司氏
知能技術代表取締役。横浜国立大学発ベンチャーのマシンインテリジェンス代表取締役。2000年に建設無人化施工協会を設立して事務局長となり、全国の土木現場で主任技術者として携わる。07年に知能技術、08年にマシンインテリジェンスを設立。代表取締役として、ロボットやAIの研究開発を行っている(写真:本人提供)
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建設向けのAIを共同で開発した企業から、「建設業界側のAIに関する認識が甘い」といった苦言を耳にします。勘違いや思い込みをしやすいのはどんな点でしょうか。

 AIに対して一般に抱かれがちなイメージがあります。「ビッグデータを自動で集めて勝手に処理し、思いも寄らなかったすごい結果を出してくれる」――。ここにはいくつもの思い込みが含まれています。

AIに対して一般に抱かれがちなイメージ。こうした思い込みが、建設分野でAIを開発する際に課題となる。知能技術の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 特に、これまでデータの蓄積が少なかった建設現場では、写真を撮るだけでもデータ収集は容易ではありません。現場ごとに撮影の条件が異なる他、撮影方法が確立されていないため、AIが解析しやすい質と量のデータを集めるのは難しい。集めたデータを、AIの学習用に選別したりクレンジングしたりといった加工の手間もかかります。

 AIの出番は、技術者がこうした多くの作業を実施した後の、最後の瞬間だけなのです。その大変さを理解していないと、AIのシステム開発会社に漠然とした要望を伝えてしまいかねません。PDF化した施工文書や現場で無造作に撮った写真をたくさん用意して「ビッグデータがあります」と言う建設関連会社が相変わらず多いのも、データやAI開発に関する理解不足が一因です。

AI開発の流れ。各段階で生じやすい思い込みを赤い吹き出しに、気を付けるべき点を青い吹き出しにまとめた。取材を基に日経コンストラクションが作成
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