大阪経済大学の中村健二教授らは、オンライン上に保存した道路の3次元点群データをダウンロードせずに素早く確認・操作できる無料のソフトウエア「3D PointStudio」を開発した。数十キロメートルにわたって記録された大量の点群データから、見たい区間を指定するだけで簡単に閲覧できる。データ量が多く扱いづらかった点群データを、災害復旧の迅速化や維持管理などで活用しやすくする。2019年内に公開する予定だ。

3D PointStudioの操作画面。MMS以外にも、ドローンや航空レーザー測量などで取得した点群データを読み込める。開発者は大阪経済大学の中村健二教授、摂南大学の塚田義典講師、法政大学の今井龍一准教授、関西大学の田中成典教授と梅原喜政特別任命助教。インテリジェントスタイル(大阪市)を通じてソフトウエアを提供する(資料:中村健二・大阪経済大学教授)
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 近年、モービル・マッピング・システム(MMS、車載型の移動式3次元計測システム)やレーザースキャナーなどの普及が進み、道路管理者が3次元点群データを扱う機会が増えている。例えば、災害で道路脇の法面が崩れた場合、事前に取得した点群データがあれば、手持ち式のレーザースキャナーなどを使って現場を計測するだけで、崩壊土量を即座に算出して復旧工事を発注できる。

 ただし、道路の点群データの容量は一般に、数ギガバイトを超える。何枚ものCDやDVDで納品された大量の点群データから目当ての区域のデータを見つけるのは一苦労だ。静岡県のように点群データをオンライン上に保存して使いやすい体制を構築している自治体はあるが、閲覧するには利用者のパソコンに都度ダウンロードする必要がある。さらなる使い勝手の向上が欠かせなかった。

点群データ活用の一例。MMSを用いて、2012年(左)と18年(右)に計測した車道の同一地点の点群データから変状を検出した。黄色は変化なし、赤や青は変化が生じていることを示す。18年の点群データから、25mm程度のわだち掘れが生じていると判明した(資料:中村健二・大阪経済大学教授)
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 3D PointStudioは、オンライン上に保管された点群データをダウンロードせずに、Google Chromeなど一般的なブラウザーを通じて直接表示できる。自動で点群を間引き、性能が低いパソコンでも軽快に作動するようにした。法面崩壊などの災害時にすぐ原形を確認できる他、画面上で寸法を測ることも可能だ。

 点群データは、中村教授らが開発した別のソフトウエアを使って、あらかじめ250m四方の区画に自動で分割。地図とひも付けておく。管理者は、地図上で見たい区画を探せばよい。ダウンロードによる手待ちが生じないので、ストレスなく点群データを扱える。

3D PointStudioでは、地図上から見たい区域の点群データを選ぶ。中村教授らは、数十キロメートルに及ぶ点群データを自動で250m四方に分割するソフトウエアを開発した(資料:中村健二・大阪経済大学教授)
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