大成建設は、山岳トンネル工事で切り羽から離れてコンクリートの吹き付け機を操作する「T-iROBO Remote Shotcreting(ティー・アイロボ・リモート・ショットクリーティング)」を開発した。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使うことで、切り羽に接近して目視確認する必要がなくなり、安全性の向上と労働環境の改善が図れる。山岳トンネルの現場で試験的に適用し、有効性を確かめた。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、吹き付け機のリモコンを操作している様子。操作者の後方、上部に吹き付け箇所の切り羽が見える(写真:大成建設)
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 同社が2016年に開発した臨場型遠隔映像システム「T-iROBO Remote Viewer」を応用している。切り羽の前面に設置する2台の魚眼レンズ付きカメラで撮影した映像を、HMDを通して見る。あたかも目の前に切り羽があるかのような臨場感が得られる。立体感や遠近感がつかめるため、通常のカメラ単体では困難だった吹き付け厚さを管理できる。吹き付け機から最大15mまで離れての操作が可能だ。

 吹き付け箇所に背を向けても、座った姿勢でも作業できる。なお、吹き付け機は従来のままで良く、改造や装備の追加をする必要はない。

 魚眼レンズ付きカメラの170°の視野角を生かして、カメラの向きを頻繁に変える手間を省く。カメラを切り羽から4m離して中央に設置した場合、幅10m程度の標準的な断面であれば全てを映す。3車線道路のような大断面のトンネルでは、長さ5mの走行レールを配置してカメラを移動させることで、両端部の視野を確保する。

実証実験を行った両端幅約16mのトンネル。実験では、切り羽から4mの距離に、切り羽面と並行に走行レールを配置した(写真:大成建設)
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カメラボックスに納めた魚眼レンズ付きカメラがレール上を走行し、施工箇所の状況を広範囲に把握する(写真:大成建設)
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 上半断面の両端幅が16mのトンネルで行った実証試験では、切り羽から4m離れた位置に、長さ5mの走行レールを切り羽面と並行に配置してカメラを移動させたところ、切り羽全面と両側部の支保工間の吹き付け箇所を見ることができた。

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