西松建設は、LPWA(省電力広域無線通信)を使った遠隔地での傾斜監視システムを改良し、地割れの変位などをモニタリングする「OKIPPA伸縮計」を開発した。従来の伸縮計と比べて、初期費用やランニングコストを大幅に下げられる。

地滑り部の地割れ監視に使用している「OKIPPA伸縮計」。伸縮計には傾斜監視システム「OKIPPA104」を使用した(赤で囲んだ部分)。傾きを利用して変位を把握する(写真:西松建設)
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 同社が2018年に開発した傾斜監視システム「OKIPPA104」は、3軸の傾斜角が分かるセンサーなどが入っているボックスを置くだけで、地盤の傾斜を遠隔地から監視できるというもの。

 自営の基地局や給電・通信のための配線は、全て不要だ。リチウムイオン電池で稼働。1時間に1回のペースで監視データを送信して、2年間は電池を交換しなくてよい。つまり、メンテナンス要らずで、システムの名前の由来である“置きっぱ(OKIPPA)なし”にできる。LPWAの「省電力」かつ「通信距離を伸ばせる」という特徴を生かした。

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 斜面の異常を監視すべく、施工管理や維持管理などで既に多くの引き合いがあり、「社内外で200個弱のOKIPPAが稼働している」と、西松建設事業創生部事業創生一課の鶴田大毅担当課長は話す。一方で、OKIPPAを新しい目的で使いたいという要望も上がっていた。その1つが地滑り部の地割れの変位を監視する使い方だ。

木杭に付けて斜面の傾斜を監視する「OKIPPA104」。10cm×10cm×4cmのボックス内に、傾斜角度や衝撃、温度などのセンサーが入っている(写真:西松建設)
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 ただし、OKIPPAが持つ3軸の傾斜センサーでは、傾斜の度合いは分かっても変状の程度を把握することはできない。例えば、OKIPPAを設置している箇所が地割れなどで動いたとしても、その最中の傾きしか分からない。GPS(全地球測位システム)測量で、移動した座標から変位を把握することは可能だが、データの容量が大きくなるため、LPWAではリアルタイムで通信することが難しい。

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