日経アーキテクチュア2019年11月14日号には大テーマが2つあります。1つは「浸水被害」。雑誌の巻頭に緊急特集、「台風19号 首都水没への警告」を掲載しました。

(写真:日経 xTECH、資料:国土交通省や総務省消防庁などの資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 特集の前書きを引用します。

 「『過去最強クラス』の勢力で関東・東北地方を襲った台風19号。浸水面積は2018年の西日本豪雨を大幅に上回り、2万5000haを超えた。東京都や神奈川県でも、多摩川流域を中心に多くが浸水し、建築・都市の水害に対する脆弱さをさらけ出した。『首都水没』へのカウントダウンは、確実に早まっている」

 昨今の大型台風では、東京は幸いにも大きな浸水被害を免れてきましたが、今回の台風19号では首都圏も大きなダメージを受けました。その中でも建築関係者が特に注目したのは、地下に設けた電気設備室への浸水被害だったのではないでしょうか。

(写真:読者提供、日経 xTECH、資料:川崎市の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 例えば、この事例です。「台風19号が襲来した10月12日夜、タワーマンションが林立する川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺エリアに茶色く濁った水が浸入した(中略)。泥水は駅前に立つ1棟のタワーマンションを機能不全に追い込んだ。2008年に竣工した地下3階・地上47階建て、643戸の『パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー』だ。地下の電気設備が浸水して停電と断水が発生。エレベーターやトイレが使えず、住民の大半が1週間以上も生活できなくなった」

 特集のタイトルを「首都水没への警告」としたのは、都市部を活動拠点とする建築設計者にも、豪雨対策を「自分の問題」として受け止めてほしいと考えたからです。

 もちろん土木インフラの改善は必要ですが、それと並行して個々の建築物を「自分で守る」ことが求められています。決して簡単なことではありませんが、建築設計者の方には、それに応えるためのヒントをこの特集から見いだしてほしいと願っています。

荒川・岩淵水門の上流側の水位は2019年10月13日午前10時にピークの7.16mに達した。1958年に神奈川県に上陸して1200人以上の犠牲者を出した狩野川台風の水位である7.48mに迫った(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]