まずは表紙をご覧ください。

(写真:イクマ サトシ)
[画像のクリックで拡大表示]

 日経アーキテクチュア2019年10月10日号の表紙には、黄色の文字で「1冊丸ごと木造研究!」というキャッチコピーが書かれています。私が編集長になってから「1冊丸ごと」という言葉を使ったのは初めてです。

 雑誌というものは、「いろいろなものが入り交じっている」からこそ面白く、また意味があると考えています。以前に当コラムでは、こんな原稿(あえて「雑」を名乗る「雑誌」の強み)を書いたこともあります。

 その私がなぜ今号は「1冊丸ごと木造」なのか。ブレているわけではありません。今号は、「木造」という大テーマのなかで「いろいろな記事」が入り交じっている、実に日経アーキテクチュアらしい号です。

 まず、特集は「木造ビッグバン」。サブタイトルは「CLT活用、流通材活用、高層化──三大トレンドを徹底解説」です。

(写真:1.艸建築工房、2.イクマ サトシ、3.武藤 聖一)
[画像のクリックで拡大表示]

 特集の前書きと目次を引用します。

 「都市部を中心に、中大規模木造の計画が活発化している。木造はもはや都市建築の選択肢の1つとなり、設計者には、3つの視点が求められている。まず、国が普及を後押しするCLT(直交集成板)の活用。普及の鍵は材料特性を引き出すことだ。2つ目は、流通する製材を活用して地域のシンボル施設を生むこと。3つ目が、街なかの高層ビルの木造・木質化だ。発注者は環境重視の姿勢を強めており、木造化の流れは止まらない」

[特集_目次]

木造ビッグバン
CLT活用、流通材活用、高層化―三大トレンドを徹底解説

 「CLT活用」「流通材活用」「高層化」と、それぞれが特集にできそうな3つのテーマを、ぜいたくに1号に詰め込みました。

 この特集だけでも、「1号丸ごと木造」に偽りはないのですが、この号にはあと3つ、ぜひ読んでほしい木造関連の記事があります。

 その1つが好評シリーズ企画の「『想定外』の教訓」。今回のテーマは「建築士が戸惑う『あずまや』の設計」です。

(写真:左ページ 高知県安芸市、右ページ 北海道当別町、愛知県、日経アーキテクチュア、資料:国土交通省の資料や取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 前書きを引用します。

 「公園などにある『あずまや』の倒壊が後を絶たない。取材を進める中で見えてきたのは、不特定多数の人が利用する公共性の高い建物であるにもかかわらず、安全性の確保を設計者任せにしている実態だ」

 あずまやの中でも木造のものは倒壊例が多く、2019年には奈良市の公衆浴場で木造あずまやが倒壊し、1人が死亡する事故が起こっています(関連記事:「大阪北部地震で柱傾く?露天風呂の崩落屋根は違法増築」)。