「若者の海外旅行離れが進んでいる」と指摘されたり、「いや、データをきちんと読み解けばそんなことはない」と反論されたりと、ゴールデンウイーク前後には日本人の海外旅行傾向がしばしば話題になりました。誰もが国名を知っていながら、今も昔も「実際に行ったことがある」という人が少ない大国の代表がインドではないでしょうか。実は日経アーキテクチュア43年の歴史のなかで、インドを特集で取り上げるのは初めてです。

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 2019年5月9日号の特集は「インド、中国 都市開発の野心~成長の圧力が生む壮大なビジョン」です。特集の前書きを引用します。

 「総人口で世界1位の中国を追い、2024年にはその座を奪うインド。山積する課題の解決に新たな技術を用い、21世紀の成長国としての道を探る。一方、ひと足早く近代化を成し遂げてきた中国は、さらなる飛躍に向けた都市戦略を立てる。超大国ならではの悩みと、それを跳ね返す野心的なビジョン──。現地取材を基に、日本の都市開発に対するヒントや新たなビジネスの機会を探る」

 前号(2019年4月25日号)からスタートしたシリーズ特集「令和の革新」の第2弾です。第1弾は、喫緊の課題である施工現場の「職人不足」の解決策をテーマにしました(「職人危機 本気の一手」)。第2弾からは設計の話を掘り下げていこうと考え、真っ先に頭に浮かんだのは「空き家問題」「ストック活用」「地方再生」といった「人口減少」に関連するテーマでした。

 ですが、ここはあえて海外の「人口成長」の話から始めてみようと考えを改めました。理由は、「ビジネスチャンスが大きいから」というのもありますが、正直に言うと、メディアとしてマンネリズムに陥るのを避けるためです。

 先ほど挙げた「空き家問題」「ストック活用」「地方再生」といったテーマは、なんとなく取材先や事例の候補が頭に浮かびます。それはこれまでの取材ネットワークのたまものであり、取材経験を十分に生かすにはその線で進めるのが常道でしょう。けれども、「令和の革新」と掲げたこのシリーズをそんな定番手法で進めていいのか……。頭の中でそんな葛藤があり、ひとまず180度逆方向の「人口成長」の国を取材した後で、日本国内の設計の話題を掘り下げていくことにしました。読者の皆さんにとっても、「人口成長」という視点に、何か今まで気付かなかったヒントがあるに違いないと考えました。

目次

 記者2人がほぼ同時期に、インドと中国をそれぞれ約2週間取材して回りました。両国の記事の着眼点にややばらつきもありますが、それぞれの国や都市の熱気を伝えることを優先した結果です。

 次号では、今号のこぼれ話も含めて、特集「アジア進出のリアル」(仮題)を予定しています。今号は大規模な都市開発の話が中心でしたが、次号は日本の中小設計事務所の奮闘を中心に、身近な視点でリポートします。そちらもお楽しみに。

出典:日経アーキテクチュア、2019年5月9日号
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