「1206」「15」「98」。

 この不規則な数の並びにピンとくる人は、建築設計の関係者と見てほぼ間違いないでしょう。

 国土交通省は、建築士事務所の新業務報酬基準「告示98号」を2019年1月21日に施行しました。今号(2019年4月11日号)の特集は、その活用法や今後の影響についてまとめた「新報酬基準の落とし穴」です。

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 冒頭の「1206」「15」「98」は、業務報酬基準を記した告示の号数です。1月21日、告示98号の施行に伴い、これまで基準としていた「告示15号」(2009年施行)が廃止されました。告示15号以前の基準は、「告示1206号」(1979年施行)でした。ベテラン世代にとっては、約30年にわたって効力を持ったこの「イチニイマルロクゴウ」がなじみ深い言葉かもしれません。

 最新の告示98号は、「平成」の末期に施行されたものですが、実態としては「令和」時代を方向付ける新ルールということになります。

 主な変更ポイントを挙げると、まず、用途・規模別の標準業務量を示した略算表を全面更新したこと。略算表の範囲を、これまで対象外だった500m2未満と2万m2以上にも拡大しました。

 略算法を詳しく見てみると、建築実務者への影響が特に大きそうなのが、基本設計と実施設計などの業務量比率です。発注方式の多様化に対応するのが狙いで、一部の業務のみを行う場合の算定方法として技術的助言で示されました。

 「難易度係数」の新設も影響が大きそうです。「総合」「設備」「構造」の区分それぞれで難易度を設定。複雑な設計業務や工事監理業務が発生する特殊な条件があれば、略算表の数値に乗じて計算します。

 略算法以外では、標準業務との区分が曖昧だった標準外業務を明確にして、ガイドラインで詳細なリストを提示したことが大きな変更点です。

 これらは業界団体などの声を踏まえ、検討委員会での議論を経て変更されたものです。当然、従来より報酬が取りやすくなっていると想像してしまいます。けれども、新告示の使い勝手について取材してみると、旧告示15号時代よりも報酬が減るかもしれない領域があることが分かってきました。 今号の特集のタイトルが「新報酬基準活用法」ではなく、(日経アーキテクチュアらしい)「落とし穴」となっているのは、そこに焦点を当てて分析しているためです。

目次

 契約を交わして受託した業務には、報酬の多寡にかかわらず、責任が発生します。報酬基準の一方で、リスクについて知ることも重要です。特集の最終章では、1年後の2020年4月に施行される改正民法と報酬基準の関係を考察してみました。これも他では読めないコンテンツです。