日経アーキテクチュア2019年1月24日号の特集は「ニッポン大改造」です。日経アーキテクチュアは2014年から毎年この時期に「東京大改造マップ」というムックを発刊しています。現在、その2019年版を編集中ですが(あと少しお待ちを!)、今回の特集はその全国版です。

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 2025年の万博開催が決まった大阪の都市開発動向を皮切りに、京都、神戸、東京、横浜、福岡、札幌、名古屋の注目プロジェクトをまとめました。東京は広域なので、渋谷エリア、新宿・池袋エリア、羽田・品川・田町・浜松町エリア、日八京・虎ノ門エリアの4エリアに分けてリポートしています。

 内容はあまりざっくり語れるものではないので各記事を読んでいただくとして、ここでは誌面を構成する航空写真について書こうと思います。

 今回の特集は、上に掲載した冒頭の見開きページ以外にも、撮りおろしの航空写真を何枚か掲載しています。例えば、こんな感じです。

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 大きな航空写真を見ると、つい思い出してしまうのが、昔の日経アーキテクチュアの表紙です。古くからの読者の方はご存じかと思いますが、本誌の表紙は創刊から長い間、航空写真が基本でした。正確に言うと、創刊前の「試作版」から航空写真でした。

 上は、編集部に保管されている「試作版1975年10月6日号」の表紙です。中央手前は、新宿副都心に建設中の安田火災ビル(1976年竣工、現・損保ジャパン日本興亜本社ビル)です。

 その半年後の1976年4月、創刊第1号を飾ったのはこの写真でした。

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 竹橋から日比谷方向のビジネス街を撮ったものです。左手前の黒いビルが住友商事竹橋ビル(1970年竣工)、その右奥にパレスサイドビル(1966年竣工)が見えます。創刊時の表紙は「観音開き」式でしたので、写真はこのように横長でした。

 創刊時の編集長だった蜂谷真佐夫(1935~2018年)は、この写真についてこう述懐していました。「1976年の春先、当時、日経アーキテクチュアの建築写真を担当していた三島叡記者(カメラマン)が、運輸省の高度制限下限ギリギリに、機体を接近させて撮影した。(中略)当時、出現しつつあった新しい都市景観を、空撮で表現して、写真を通した問題提起はできないかという試みは幸い、読者の支持を得た」(2006年12月11日号特集「『建築写真』をめぐる15の問い」より)

 航空写真のシリーズで表紙を印象付けようというアイデアも秀逸ですが、同じ編集長という立場で蜂谷がすごいなと思うのは、すべての命運をかけた創刊第1号表紙に、話題の新作建築の航空写真ではなく、「変わる街並み」を持ってきたことです。並の編集長なら、分かりやすい単体の建築を表紙にするでしょう。蜂谷はあえて対象がはっきりしない街並みの航空写真を使うことによって、新たに創刊した日経アーキテクチュアの社会性を示しました。そして、それが実際に読者に伝わったのです。身内をほめすぎるのはどうかと言われるかもしれませんが、昨年亡くなった蜂谷に敬意を表して、この機に書かせてもらいました。

 それから43年、10代目編集長の私はどうかというと、なかなかそこまでは思い切れず、今号は建設中の新国立競技場を表紙にしてしまいました。

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 初代編集長・蜂谷の思い切りに追いつくにはまだまだ時間がかかりそうです。ただ、私も、スタジアム単体ではなく、周辺の街の変化をできるだけ伝えようとしたことは評価していただきたく……。

 そんな編集側の葛藤も想像しつつ、特集の各記事をぜひご覧ください。

特集目次

大阪・京都・神戸

東京

横浜

福岡

札幌・名古屋

全国の注目プロジェクト

出典:日経アーキテクチュア、2019年1月24日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。