日経アーキテクチュア最新号の内容を紹介するこのコラムですが、今回はその前に“急ぎのイベント情報”について書かせてください。東京・青山スパイラルガーデンで12月7日(金)から始まり、12月16日(日)で終わってしまうシチズン時計創業100周年イベント「CITIZEN“We Celebrate Time”100周年展」です。

12月16日(日)まで開催中のシチズン時計創業100周年イベント「CITIZEN“We Celebrate Time”100周年展」のメイン展示。「LIGHT is TIME」と題したインスタレーション。吊られている金色のものは?(写真:日経アーキテクチュア)
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 その目玉展示を手掛けているのがAtelier Tsuyoshi Tane Architects(アトリエ ツヨシ タネ アーキテクツ、パリ)代表の田根剛氏。日経アーキテクチュア2018年12月13日号の特別リポート「編集部が選ぶ10大建築人2019」で、総合1位の「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー」に輝いた人です。

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 シチズン100周年展をもう少し見てみましょう。田根氏がデザインしたのは「LIGHT is TIME」というインスタレーションです。青山スパイラルガーデンの円形展示スペースに、金色に塗った腕時計の基盤部材(地板)7万2000個を吊り下げた──。簡単に書けばそれだけなのですが、その吊り方の幾何学性がすごい! 見る角度によって図形が変わり、観念の世界に迷い込んだようです。

金色の腕時計基盤7万2000個が吊り下げられている。田根氏は2014年に青山スパイラルガーデンで行われた「“LIGHT is TIME” ミラノサローネ2014凱旋展」でも金色の腕時計基盤などを吊ったが、今回は吊り方が幾何学的(写真:日経アーキテクチュア)
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らせん状のスロープを上ると、刻々と見え方が変わる(写真:日経アーキテクチュア)
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この角度からは六角形の雪の結晶のように見える(写真:日経アーキテクチュア)
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 実は田根氏は、10月中旬から都内で「2館同時展」を開催し、話題になっていました(TOTOギャラリー・間と東京オペラシティアートギャラリー)。その会期中にこのシチズン100周年展が始まり、10日間だけですが「3館同時開催」という前代未聞の状況となっています。

 編集部として田根氏を「アーキテクト・オブ・ザ・イヤー」に選んだのは、ここにきての展覧会の話題だけではありません。2018年を振り返ると、日経アーキテクチュアおよび日経 xTECHでこれだけの記事を掲載しています。

 なんだ、恒設のプロジェクトで出来上がったのは「Todoroki House in Valley」だけか、と思われるかもしれませんが、そう切り捨てる前にいくつかの記事をクリックして読んでみてください。構想や進行中プロジェクトであっても、それが「第三者に伝わりやすい」「人に話したくなる」という点に学ぶことは多いと思います。

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 筆者は、開催中の3館の内覧会に3つとも顔を出してみましたが、いずれの会場でも全く顔を知らない(おそらく建築業界ではない)人が多いのに驚きました。「分かる人にだけ分かる」建築イベント(あるいは建築)が多いなか、やすやすと建築の境界を越えてしまう田根氏の何がどう違うのを考えてみる必要がありそうです。

 筆者はその伝わりやすさが坂茂氏のそれに通じると考えており(作風ではなく「伝わりやすさ」です)、「坂茂・田根剛論」をがっつり書きたいところではあるのですが、それはまた別の機会に……。代わりに、今号の「建築日和」で、たまたま坂茂氏と田根氏を取り上げているので、イラストルポをここにも掲載しておきます。

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 おまけのような書き方になってしまいますが、今号の特集は、「売れる住宅改修の条件」です。そちらも時代の重要テーマですので、ぜひご覧ください。

特集 目次

出典:日経アーキテクチュア、2018年12月13日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。