日経アーキテクチュア2018年11月22日号の特集は、毎年秋の恒例企画「採用したい建材・設備メーカーランキング2018」です。

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 一級建築士5000人のアンケート回答をもとに、49部門について建材・設備メーカーの採用意向をランキングにまとめました。注目製品の開発秘話なども含め、計24ページを割いた調査企画です。日経アーキテクチュア購読者と日経 xTECH有料会員の方は、ランキングの詳細データをこちらでご覧いただけます。

 特集では、ランキングとの2部構成の形で、この1年間に当ウェブサイトの「製品ガイド」欄で紹介した中から、注目のプロダクトを改めて詳述しています。今年のテーマは「安全」。具体的には、「防災」「暮らしの事故防止」「バリアフリー」の3つの切り口で計13の注目製品を集めてみました。

 この特集は、製品そのものの仕組みを知ることに加えて、「意外に知らない性能数値の目安」を知る面白さがあります。

 例えば、防災で取り上げたのは、文化シヤッターの止水ドアと、LIXIL鈴木シャッターの防水板です。

両開きで広い開口用途に対応できる文化シヤッターの止水ドア「アクアード」(写真:文化シヤッター)
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 文化シヤッターは、オフィスビルや港湾施設などの出入り口からの浸水を想定した止水ドア「アクアード」を拡充しました。上の写真は新たに加わった「両開きステンレスタイプ」で、設備の搬出入時に広い開口が必要な機械室やサーバー室などを想定した製品です。操作方法を記事から引用します。

 「浸水対策時には扉を全閉して『止水グレモン』を引き上げる。止水グレモンの操作で『2軸丁番』が連動し、扉が扉枠に密着する。扉枠はエアタイトゴムと止水ゴムの二重構造。扉と密着して外部からの浸水を防ぐ。同社の試験値では、外部水位が最大3mで屋内側への浸水量を毎時20リットル/m2以下に抑えられた」

LIXIL鈴木シャッターの防水板「アピアシャット」を2段仕様で設置したイメージ(写真:LIXIL鈴木シャッター)
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 浸水対策のもう1つの製品は、LIXIL鈴木シャッターの防水板「アピアシャット」。浸水対策時だけ開口部に取り付ける防水板も、製品層に広がりを見せています。

 アピアシャットは、1段仕様のパネルの場合、重量は約20kg/m2。 浸水対策時は、建物の開口部に取り付けた枠に人力でパネルをセットし、ハンドルを回して固定するだけです。

 性能に関しての説明を記事から引用します。「同サイズの製品を使った同社の試験値では、外部水位500mmの条件で漏水量は毎時約1リットルと、建材試験センターの止水性能基準で5等級(最高ランク)相当だった」

 正直に言うと、筆者はそれらの性能を示す数値指標を初めて知りました。前者でいえば、「外部水位が最大3m」のときの屋内側への浸水量が「毎時20リットル/m2以下」、後者でいえば、「外部水位500mm」のときの漏水量が「毎時約1リットル」──。

 昨今のように水害が増えると、建築専門誌の編集者としては、その数値を見ただけで性能の高低を即座に想像できるようでなければいけない、と反省しました。今後は設計者もクライアントに聞かれる機会が増えるでしょうから、同様ではないでしょうか。

 この特集には、そんな“意外に知らない数値指標”があちこちに出てきます。「技術」というと「AI(人工知能)」や「IoT(モノのインターネット)」といったデジタル系の話題が多くなりがちな昨今ですが、ダンパー偽装事件を例に出すまでもなく、ベースとなる“物理的機構”が性能どおりに機能しなければ、建築や都市の安全は担保されません。そんな視点も持ちつつ、本特集をご覧いただければ幸いです。

出典:日経アーキテクチュア、2018年11月22日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。