日経アーキテクチュア2018年11月8日号の特集は、「免震偽装再び」です。

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 10月16日、再び発覚した「免震偽装」に衝撃が走りました。油圧機器大手のKYBと子会社カヤバシステムマシナリー(カヤバ社)が免震・制振用オイルダンパーの性能検査データを改ざん。大臣認定の仕様や顧客契約に反した製品を出荷していたことが判明しました。

KYBが10月16日に公表した検査フローの説明図。NGが出た不具合品は、組み立て工程に戻して分解・調整を施し、OKとなるまで検査を繰り返すはずだった。工場側が調整に時間が掛かることを嫌がったとみられる(資料:KYB)

 「(検査データの)見栄えが良くなるよう、ばらつきを小さくする操作をしていた。不具合品はバラシ(分解)をして、時間をかけて正しい品質にしなければならないが、怠っていた。1つ当たり5時間とか、時間がかかるということがあった。軽く考えたというか、生産計画をキープできないという思いがあったようだ。もっと品質重視でやらなければならなかった」

 10月19日、国土交通省で記者会見をしたカヤバ社・広門茂喜社長の反省の弁です。

 この言い訳を読むと、建築業界に新規参入した企業のようで、背筋が寒くなります。KYBおよびカヤバ社は、「建築用オイルダンパーのリーディングカンパニー」を自認する最大手メーカーです。その業界トップ企業が、15年以上前から出荷前の検査データを改ざんしていたのです。不正の疑いがあるダンパーは1万本を超えます。

 「業界トップの偽装発覚」という第一報を聞いた直後から、編集部では、「これは他社にもあるのでは」という話をしていました。案の定というか、不幸にもというか、その予感は的中しました。

 KYBの公表から1週間後の10月23日、東証2部上場の川金ホールディングス(HD)が会見。KYBと同じ手口でオイルダンパーの不正検査を行っていたと公表しました。

建築基準法改正や建築士法改正のきっかけとなった構造計算書偽造事件、大臣認定制度を揺るがせた防耐火認定建材偽装問題など、品質問題は収れんする兆しが見えない。2度目となる免震偽装は、問題が根本解決に至っていないことを示している(資料:日経アーキテクチュア)

 偽造や偽装が発覚するたび、建築界に対する社会的信頼は大きく揺らいできました。今回の免震・制振ダンパーの偽装は、15年に東洋ゴム工業による「免震偽装」が発覚してから3年しかたっていません。免震・制振に限らず、日本の建築技術そのものに疑いの目が向けられているといってよいでしょう。特集では、専門家に聞いた「改革のヒント」も掲載しています。

<特集 目次>
免震偽装再び
オイルダンパー性能値の改ざんが発覚