今号(2018年6月28日号)は、隈研吾氏が2つの記事に登場します。1つは特集「すぐ使える新世代素材」、もう1つはフォーカス建築「富岡市役所」です。どちらも群馬県富岡市で隈氏が手掛けるプロジェクトを取り上げています。

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富岡市役所の行政棟のエントランスまわり。3層吹き抜けで、2階と3階をつなぐ階段からは街の風景を眺められる(写真:吉田 誠)
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 富岡市の2つのプロジェクトは、筆者もゴールデンウイーク中に見に行きました。まずは、富岡市役所から。

 「3層吹き抜けのエントランスを入ると、製糸産業で栄えた富岡らしい素材が目に入る。『きびそ』と呼ばれる生糸を使った壁紙だ。きびそは、蚕(かいこ)が繭(まゆ)をつくるために最初に吐き出す糸のこと。繊維が粗く硬いため製糸に使えず、多くが処分されてきた。今回、きびその風合いを生かした壁紙を地域の人たちと開発し、庁舎内の各所に張った」(フォーカス建築より)

壁紙に使ったきびそは、多くが糸くずとして処分されてきたが、独特の質感を持つ(写真:吉田 誠)
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 目にしたとたんに「何これ?」と思わず口に出てしまう、二次元のような三次元のような例えづらい素材感です。きびそは古くからある自然素材ですが、壁に使う建材としては“新世代”といえるでしょう。

 富岡市役所ではこのほか、藍染めのパーティションや、樹脂を充填した外装の木ルーバーなどで地域の素材を使っています。

ルーバーの樹種は、ヒノキ、マツ、クリ、ミズキ、ホオ(写真:隈研吾建築都市設計事務所)
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