米アップル(Apple)が2018年11月に発売したiPad Proの外部接続端子には、iOSデバイスでおなじみのLightningコネクターではなく、標準規格であるUSB Type-C(アップルはUSB-Cと呼んでいる)が採用された。iPodから始まった30ピンDockコネクター、その後のLightningコネクターと、アップルの独自路線に貢いできたユーザーからすると、微妙な「はしごを外された感」を味わっているのではないか。

今後はAppleのモバイルデバイスの端子もUSB-Cに置き換わるのだろうか
(筆者撮影)
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 そんなUSB-Cタイプのコネクターを利用した新しい電源供給規格に「USB Power Delivery」というものがある。最大で100Wという大きな電力を扱える優れもの。そのため、スマートフォンやタブレットより大きいノートパソコンのような機器への電源供給も可能になった。2015年発売の「Retinaディスプレイ」を搭載したMacBookは、ヘッドホン端子を除くとUSB-Cタイプの端子が1つだけという、あまりにも割り切った仕様にアップル信者をも困惑させた逸品だったが、これもUSB Power Deliveryのなせる技であった。

 USB Power Deliveryは、ACアダプターだけでなく、モバイルバッテリー製品も採用している。つまり、AC電源がない場所でも、MacBookのようなノートパソコンにも電力を供給できる時代がやってきたわけだ。その分モバイルバッテリーの大容量化も加速している。それにつれてモバイルバッテリーが大きく重くなっているのかと思いきや、そうでもないのだから驚くばかり。内蔵のリチウムイオン2次電池の大容量化、高密度化が進んでいるのだ。

 リチウムイオン2次電池の進化は、デジタルガジェットに限らず、電化製品や電気自動車などの利便性や性能の向上を下支えすることで、我々の生活を豊かなものにしてくれるのは間違いない。気がかりなのは火災などの事故。筆者自身は発火などの重大事故に遭遇したことはないのだが、内蔵リチウムイオン2次電池の膨張をiPhone、Apple Watch、MacBook Proといったモバイル製品で実際に経験している。発火事故などのニュースが頭の片隅にあるだけに、パンパンに膨らんだリチウムイオン2次電池を目の当たりにすると、けっこうドキドキするものだ。

 今回は、モバイルバッテリーの進化と、その安全性に迫ってみたい。

膨らんでしまった筆者のApple Watchの電池。装着中に突然、文字盤がペロンと剥がれてしまった
(筆者撮影)
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