音の遅延が軽減され動画再生時の違和感が和らぐ

 Bluetoothイヤホンの最大の課題が音の遅延だ。機種によっては、動画の視聴において、唇が動く場面や楽器演奏の場面などで、動画再生時の絵と音にズレを感じることがある。スマホにおける音声処理やBluetooth伝送時のコーデック処理など様々な要因が絡むことで遅延が発生するようだ。TWS Plusは、クアルコム製のイヤホン向け最新Bluetooth音声処理用SoC「QCC3026」と組み合わせることで遅延の低減が図られている。

 余談だが、お使いのワイヤレスイヤホンの遅延の程度を知りたい方は、YouTubeにBBC(英国放送協会)が作ったといわれる遅延確認動画がある。「Audio Sync Test」で検索すると簡単に見つけることができる。30コマ/秒で作られたビデオ動画の世界では、唇の動きが「3〜4コマ以上ズレると視聴者にバレる」(プロ映像カメラマン)そうだ。3〜4コマというと、100ミリ〜130ミリ秒程度のズレだ。

BBCが作った映像と音声のズレをチェックするための動画。メトロノームのリズムと映像の動きのタイミングがリンクしており、遅延が発生すると視覚で確認することができる
(出所:BBC)
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各社のフラッグシップモデルが対応予定

 完全ワイヤレスにとって良いことずくめのTWS Plusだが、現時点では無条件でこの新技術の恩恵を受けることはできない。スマホに「Snapdragon 845」という最新のクアルコム製SoCが搭載されていなければならないのだ。この最新チップは、韓国サムスン電子のGalaxy S9、ソニーのXperia XZ3、米グーグル(Google)のPixel 3といった、2018年後半に発売された各社のフラッグシップモデルが採用している。

 ただし、Snapdragon 845搭載スマホであっても、TWS Plusを即利用できるわけではない。スマホ側のファームウエアのアップデートが必要なのだ。「大手各社は今後アップデートで対応していくのではないか」(スマートフォン関係者)ということなので、今からTWS Plus対応の完全ワイヤレスを購入しても宝の持ち腐れになることはないだろう。

 ちなみに、iOS製品は、Appleの独自SoCを搭載しているのでTWS Plusの一連の機能を利用することはできない。TWS PlusはAndroid端末が対象となる。

山崎 潤一郎(やまさき じゅんいちろう)
ITジャーナリスト
音楽制作業を営む傍らIT分野のジャーナリストとしても活動。音楽制作業では、クラシック音楽やワールドミュージックといったジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。ITジャーナリストとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから著書多数。鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」などの開発者であると同時に演奏者でもあり、楽器アプリ奏者としてテレビ出演の経験もある。音楽趣味はプログレ。