ETWSは、GSM/W-CDMA/LTEにおける共通の仕様。このため海外でも通知を受け取れる。写真は、2018年6月に台湾で行われた「防空演習」のときに受信したメッセージ
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 地震発生前に、携帯電話やスマートフォンで「緊急地震速報」を受け取ったことはあるでしょうか。こうした通知は、ETWSと呼ばれる携帯電話ネットワークの機能を利用しています。ETWSは「Earthquake and Tsunami Warning System」の略で、GSMや3G(W-CDMA)、LTEなどで利用可能な仕組みです。地方自治体が出す緊急速報や消防庁の「Jアラート」などもETWSを利用しています。

 しかしスマートフォンの機種によっては、Jアラートが表示されなかったといった話も聞きます。ETWS自体は汎用的な仕組みなのですが、実際には、事業者による「Earthquake and Tsunami Warning Service」として通知を出しています。ETWSでは事業者独自の仕様も認められているのですが、端末の中にはサポートしている仕様のみを表示し、対応していないメッセージを表示しないものがあれば、逆に何が何でも表示してしまうものもあります。実装に違いがあるようです。

 そんな中、2017年12月に電気通信事業者協会は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が「共通受信仕様」を策定してAndroidで利用可能にしたと発表しました。これによれば、Android 8.1(8.1.0_r9)以降を搭載していれば、機種によらずJアラートや地方自治体の避難情報などを受信可能になるということでした。

エリアメールがベースになっている

 ETWSは、ドコモが3G端末用に2007年に実装した「エリアメール」がベースになっています。エリアメールは、2005年から検討が開始され、2007年から一般向けに提供が始まった「緊急地震速報」を携帯端末に配信するために作られました。同様の機能は、KDDIやソフトバンクも「緊急速報メール」という名前で実装しました。

 緊急地震速報は、日本各地に配置された地震計からの情報を元に地震の発生を検出し、警報を発する仕組みです。携帯ネットワークだけが対象ではなく、テレビやラジオ、専用の受信機などにも配信されます。地震や津波は物質の振動なので、ほぼ光の速さで伝達する電気信号に比べれば、発生源から特定の地域へ到達する時間が遅れます。この時差を利用して、事前に警報を発するというのが緊急地震速報の原理です。

 ドコモは、このエリアメールを3GPP(W-CDMAやLTEの技術策定を行った団体。現在ではGSM方式もここで策定されている)にETWSとして提案します。提案は2007年で、エリアメールの実装、つまり緊急地震速報の実施とほぼ同じ時期です。当時はLTEの開発が進んでおり、ETWSはW-CDMAのほかGSMやLTEにも取り込まれることになりました。

 ETWSでは、ドコモのエリアメールよりも、短い時間でメッセージが伝わるように改良されています。現在はどこの事業者もETWSベースに切り替わっていますが、サービス名称がそのままの場合もあるようです。