NTTドコモが5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス開始に向け、新たな取り組みとして打ち出した「マイネットワーク構想」。5G対応スマートフォンをハブに様々な周辺機器を活用し、新しいテクノロジーによる体験を提供するのがその狙いだが、ユーザーに受け入れられるには課題も少なからずあるように見える。

5Gスマホをハブとして先進的なサービスを提供

 2020年春の商用サービスに向け、次世代モバイル通信規格の5Gへの関心が急速に高まっている昨今。携帯電話大手から5Gに関する取り組みが次々と発表されている。中でもNTTドコモが5Gに向けた新たな取り組みとして打ち出しているのが「マイネットワーク構想」である。

NTTドコモが発表した「マイネットワーク構想」。5G対応のスマートフォンをハブとして、先進的なデバイスを活用したサービスを提供する。写真は2019年5月29日より実施された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2019」より(筆者撮影)
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 これは5G対応のスマートフォンをハブとして、そこに様々な周辺デバイスを接続し、その上でサービスを提供することにより5Gによる新しい体験を提供するというもの。同社の発表によると、周辺機器としてはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)など「XR」対応のヘッドマウントディスプレーや、ウエアラブル・ヒアラブルデバイス、360度カメラなど、先端テクノロジーを活用したデバイスが想定されているようだ。

 特徴的なのは、デバイスやその上で動くサービスなどをパートナー企業と共同開発する点。NTTドコモはかねてよりパートナー企業との協業を重視する方針を打ち出しており、5Gに関してもパートナー企業に技術や環境などを提供する「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」を展開している。マイネットワーク構想においてもパートナー企業との共同開発を重視する方針を打ち出しており、外部パートナーとの連携が重要な要素となっていることが分かる。

 そうしたNTTドコモの取り組みを象徴しているのが、マイネットワーク構想に向けた取り組みの一環として公表された、米マジックリープ(Magic Leap)との資本・業務提携である。同社はMR(複合現実)のデバイスやサービスを手掛けるベンチャー企業として注目を集めている。NTTドコモはマジックリープへの出資により、同社のMRデバイスを日本で独占販売するほか、コンテンツ配信プラットフォームの日本語化やdアカウント連携、そしてコンテンツの共同開発も進めていくとしている。

 マジックリープは既にグラス型のMRデバイス「Magic Leap One」を提供しているが、NTTドコモによると日本語への対応が必要になることなどもあり、実際に国内で投入されるのは次世代のモデルになるとのこと。ただNTTドコモは、2019年のラグビーワールドカップに合わせて9月20日より5Gのプレサービスを実施する予定であることから、そのタイミングでMagic Leap Oneを活用した何らかのデモを計画しているという。

NTTドコモが出資したマジックリープのMRデバイス。NTTドコモは出資によって、マジックリープ製のデバイスの日本における独占販売権を獲得している。写真は2019年5月29日より実施された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2019」より(筆者撮影)
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なぜ5G内蔵デバイスを採用しないのか

 NTTドコモがマイネットワーク構想を発表したのには、5Gらしい先端デバイスを活用したサービスをいち早く提供することで、5Gの先進性をアピールしたい狙いがある。だがそうした体験を提供するならば、スマートフォンに接続するなどの手間をかけることなく、機器そのものに5Gの通信機能を搭載したほうがユーザー体験の価値は高まるはずだ。

 にもかかわらず、あえてスマートフォンをハブにするのはなぜか。その理由について、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は2019年4月26日の決算説明会において、「最初からデバイスに5Gのモジュールが入ればいいが、必ずしもそうはならない」と話している。