KDDIは、auの携帯電話利用者に閉じていたauのIDやサービスなどをオープン化する方針を打ち出した。KDDIはこれまで「auスマートパス」「au WALLET」などauの顧客限定のサービス提供に力を入れてきたが、なぜこのタイミングで、一転してオープン化に踏み切ったのだろうか。

「スマートマネー構想」と併せて発表

 ここ最近大きな動きが相次ぎ、活発となっているのがスマートフォン上で利用できる金融・決済関連のサービスだ。2月に入っても大きな動きが続いており、2019年2月13日にはフリマアプリ大手、メルカリの子会社がスマートフォン向け決済サービス「メルペイ」を提供すると発表。QRコード決済ではなく、非接触決済「iD」の基盤を活用するサービス内容であったことが驚きをもたらしている。

 そしてもう1つ、極めて大きい動きを見せたのがKDDIである。同社は2019年2月12日に「スマートマネー構想」を発表した。auユーザー向けの決済サービス「au WALLET」を軸として、QRコード決済の「au PAY」だけでなく銀行や投資、保険など幅広い金融サービスを提供していくという。

KDDIは2019年2月12日、新たな金融戦略「スマートマネー構想」を発表。カブドットコム証券へのTOBやじぶん銀行の子会社化、金融関連企業をまとめる中間持ち株会社の設立などを打ち出している。写真は同日に実施された「au経済圏拡大に向けた取り組みに関する発表会」より(筆者撮影)
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 その構想を実現するべく、傘下の金融関連企業を取りまとめる「auフィナンシャルホールディングス」を設立するほか、新たにカブドットコム証券に対して株式公開買い付け(TOB)を実施し、関連会社にする予定であると発表。さらにグループの金融関連企業を「au」のブランドに統一するなど、金融事業を大幅に再編する。

 だが今回の発表で、同社のより大きな戦略転換として注目されるのが、auのIDやサービスをau以外の顧客にも提供するキャリアフリー化に舵(かじ)を切ったことである。KDDIはスマートマネー構想を推し進めるための取り組みの1つとして、これまでauの携帯電話利用者しか使えなかったau ID、au WALLETなどの決済サービス、ポイントなどを、2019年夏をめどにオープン化すると発表したのだ。

スマートマネー構想の一環として、KDDIはau IDやサービス、ポイントなどのキャリアフリー化を2019年夏に実施することを明らかにした。写真は2019年2月12日の「au経済圏拡大に向けた取り組みに関する発表会」より(筆者撮影)
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 NTTドコモは2013年にdocomo ID(現在のdアカウント)をオープン化し、ソフトバンクも自社独自サービスを縮小しつつヤフーの「Yahoo! Japan」との連携に舵を切るなど、サービスと端末の切り離しを進めてきた。KDDIは携帯大手3社で唯一、自社の利用者に閉じたサービスの提供にこだわってきた。それがなぜこのタイミングでキャリアフリー化に踏み切るに至ったのだろうか。