エヌビディア株を早々に売却したソフトバンクグループ

 出資によるシナジーだけでなく、リターンを重視する傾向は、携帯電話大手のソフトバンクの親会社、ソフトバンクグループの傾向からも見て取ることができる。2018年12月にソフトバンクが上場したことで、ソフトバンクグループはグループ企業に加え、大規模な投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を運用する投資会社としての性格を強めている。

 そのソフトバンクグループが2019年2月6日に実施した決算説明会では、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先企業の1つである半導体大手、米エヌビディア(NVIDIA)の売却に関する説明に多くの時間を割いた。エヌビディアはここ数カ月のうちに時価総額が半減したことから、その株式を保有していたソフトバンクグループが大きな損害を受けていると見られていたため、実際は事前の取引によって損はしていないことをアピールする狙いが大きかったとみられる。

ソフトバンクグループは株価が急落したエヌビディアの株式を2019年1月に売却。保有から約2年とかなり早い段階での売却となる。写真は2019年2月6日のソフトバンクグループ決算説明会より(筆者撮影)
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 だがソフトバンクグループは人工知能(AI)関連企業の投資に注力しており、エヌビディアはそのAIの分野で注目されている企業だ。にもかかわらず、2017年に株式を取得して大株主になった同社の株を、株価急落があったとはいえ早々に手放したのはなぜだろうか。

 その理由は、今後大きな成長が見込まれるものの、まだ上場していないユニコーン企業への投資に注力し、より大きな利益を得ることを重視したが故だといえそうだ。エヌビディアのようにすでに上場している企業への投資は大きなリターンを生みにくいことから、売却してユニコーン企業への投資に力を入れたいのだろう。

 ソフトバンクグループの代表取締役社長兼会長である孫正義氏は、AI関連のユニコーン企業に出資して20〜40%程度の株を保有し、成長企業の集合体を作る「AI群戦略」を打ち出している。だが今回の決算説明会では、成長がひと段落した企業は売却し、“卒業”させていく方針も同時に打ち出している。