クラウド型自動翻訳機の多くはAndroidベース

 POCKETALKのヒットにより、この分野への新規参入も増えつつある。かつて「FREETEL」ブランド(現在はMAYA SYSTEMが保有)でスマートフォンやMVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービスなどを提供していた、プラスワン・マーケティングの代表取締役社長であった増田薫氏も同社の経営破綻後、TAKUMI JAPANという新しい企業を設立し、この分野に参入している。

 同社が投入している自動翻訳機「KAZUNA eTalk5(カズナ イートークファイブ)」は、同様にSIMを搭載し、世界各国でクラウドによる翻訳を実行できるデバイスだが、多機能なのが大きな特徴となる。eTalk5は音声翻訳だけでなく、カメラで撮影した文字を翻訳する機能や、複数の相手に翻訳したメッセージを送る機能、さらにはWi-Fiテザリング機能など、翻訳以外の機能も備わっている。

TAKUMI JAPANが提供している自動翻訳機「KAZUNA eTalk5」。POCKETALKと同様に、世界各地で使えるSIMをセットで提供しており、音声以外の幅広い翻訳に対応しているのが特徴となる。写真は2019年1月17日のTAKUMI JAPAN新製品発表会より(筆者撮影)
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 だが改めて自動翻訳機市場に参入している企業を見ると、中堅企業やもともとハードウエアを手掛けてこなかった企業が多いという点は興味深い。ソースネクストもこれに当てはまる。急速に立ち上がった市場だけに、素早くデバイスを投入できる小回りの利く企業のほうが参入しやすいのだろう。

 こうした企業が自動翻訳機を次々投入できる理由は、スマートフォンで培われた技術の流用である。というのも、自動翻訳機のスペックを見ると、その多くがAndroidをベースに開発されていることが分かる。つまり自動翻訳機の多くは、いわば機能限定版のスマートフォンとも言える。

 Androidがベースであれば、アプリの開発がスマートフォンと同じであるため、様々なクラウドの翻訳エンジンを活用することで開発がしやすくなる。しかも最近のクラウド翻訳エンジンは、機械学習の導入などによって翻訳精度が急速に向上している。そうしたことからスマートフォンなどの開発・製造に実績のある企業を活用することで、通信機能付きの自動翻訳機を素早く開発できるようになったと言えよう。