過当競争のQRコード決済、2019年は早くも淘汰が始まるか

 また2018年の動向を見ていて気になるのが、参入事業者が乱立しており、過当競争に陥る可能性があることだ。2019年もKDDIが「au PAY」を開始するなど、この分野への新規参入を予定している事業者がいくつか存在しているが、そもそも同じようなQRコード決済サービスが増えていることに対し、消費者の側が追いつけていないというのが現状ではないだろうか。

KDDIは楽天と提携し、自社の「au WALLET」と「楽天ペイ」の決済基盤を活用した「au PAY」を提供することを明らかにしている。写真は2018年11月1日のKDDI決算説明会より(筆者撮影)
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 PayPayの大規模キャンペーンによって確かにQRコード決済の認知は高まったが、トラブルによる混乱が今も続いているだけに、今後同様のキャンペーンでお得さをアピールしても消費者からの信頼を得づらく、急速な普及は望みにくいだろう。かといって他に消費者を引き付ける有効な手段が見当たらないというのも、また事実である。

 それゆえQRコード決済の利用は多くの人が期待しているよりも時間がかかり、その規模も限定されたものになると筆者は見ている。そうした状況になることを最も恐れているのは、急速な普及を見込んで参入した決済サービス事業者自身ではないだろうか。規模が思いのほか伸びない状態でライバルが増え続ければ、体力勝負の消耗戦となりかねないからだ。

 今後を見越してこの分野から撤退する事業者も出てきた。2018年11月にはQRコード決済機能も備えた個人間決済アプリ「paymo」を提供するAnyPayが、同サービスを2019年5月30日に終了すると発表したのだ。paymoは2017年に始めたばかりにもかかわらず、その後大手企業の参入が相次いだことで、勝ち抜くのが難しいと判断したが故に短期間で事業を見直すに至ったとみられる。

 今後も体力が弱く、長期戦の構えができていない事業者は、撤退や合併という道を選ぶ可能性は高いだろう。2019年には早くも、QRコード決済サービスの整理淘汰が進むことになるのかもしれない。

実は最も必要なアウトバウンド対応

 国内向けサービスでは過当競争が課題となる一方、実は最もQRコード決済を必要としている人に向けた対応については、積極的な動きが見られないのも大きな課題だと筆者は感じている。それは中国におけるQRコード決済のアウトバウンド対応だ。

 中国ではQRコード決済の「Alipay」や「WeChat Pay」が広く普及したことで、急速にキャッシュレス化が進んでいるというのは既にご存知の方も多いかと思う。だが、その影響で逆に、中国に短期滞在する外国人観光客などにとって非常に不便な状況が生まれている。なぜならAlipayやWeChat Payを利用するには基本的に中国の銀行口座が必要であるため、外国人の利用には相当高いハードルがあるからだ。