ディー・エヌ・エー(DeNA)は2018年12月4日、タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」を東京都内で展開するに当たり、新しい移動体験を提供する「PROJECT MOV」を始動すると発表。タクシー料金を広告宣伝費で賄い、無料で乗車できる「0円タクシー」を展開するなど新たな取り組みを打ち出している。それによってタクシーのビジネスモデルを大きく変えることはできるだろうか。

東京進出で「タクベル」から「MOV」にリブランド

 2018年は、QRコード決済などのモバイルペイメントに代表されるように、スマートフォンとリアルを結び付けるサービスが大きな注目を集めた1年だった。タクシーをスマートフォン上から呼び出せる「タクシー配車アプリ」も大きな動きが相次いでおり、2018年に新たに参入した1社がディー・エヌ・エーである。

 同社は、神奈川県タクシー協会と2017年よりタクシー配車アプリの実証実験を進めており、2018年4月に「タクベル」という名称で、神奈川県内でのサービスを正式に開始。さらに2018年12月に東京都内へサービスエリアを拡大するのに併せて、2018年12月5日よりサービス名を「MOV」に変更すると発表している。

 その前日となる2018年12月4日、ディー・エヌ・エーはMOVの事業戦略説明会を実施し、MOVの特徴と優位性について説明した。ディー・エヌ・エーの執行役員 オートモーティブ事業本部長である中島宏氏は、MOVが他の配車アプリと大きく異なる点として、タクシーに設置されたスマートフォンのアプリと、タクシーのメーターが連携して配車する「アプリ連携方式」を、全てのタクシーに取り入れていることだと話す。

「MOV」は呼び出し部分だけをアプリ化し、実際の呼び出しには無線を使う「無線機連携方式」ではなく、スマートフォンアプリ同士が直接連携して配車する「アプリ連携方式」を全てのタクシーに採用している。写真は2018年12月4日のディー・エヌ・エー発表会より(筆者撮影)
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 従来のタクシー配車アプリは、呼び出しの部分だけをアプリ化し、実際の配車には人と無線を使った既存の配車システムを用いる「無線機連携方式」が用いられている。だがこの仕組みでは、実際に配車の担当者が個々のタクシーの運行状況を把握できず、配車のダブルブッキングが発生したり、乗客を乗せているタクシーに配車の呼び出しがかかってしまったりするなどの問題が発生するという。

 しかしながらアプリ連携方式ではこのような問題は起こらないという。理由の1つは、タクシーメーターとスマートフォンが連携することで、「空車」「迎車」「賃走」などといった個々のタクシーの走行状況をシステム側が把握できること。もう1つは、人と無線による既存の配車システムとは別に、アプリによる配車システムが独立して動作しているためだとしている。こうしたシステムを整えてからサービスを提供していることが、優位性につながると考えているようだ。