日本マイクロソフトが開発しているチャットボット「りんな」。人工知能(AI)技術を活用し、LINE上で会話できる女子高生チャットボットとして知られているが、最近はテキストによる会話だけでなく、声で会話をしたり、歌ったり、物を見て感想を伝えたりと、大幅な進化を遂げている。同社はりんなの進化で何を狙うのだろうか。

進化の方向性が変わり始めた

 ここ数年来、大きな注目を集めている人工知能(AI)関連の技術。スマートフォンをはじめ様々な分野にAI技術が活用されるようになったが、それらは多くの人がイメージするような、対話ができる姿ではない。だが実際に対話ができるAIとして注目されているものも存在する。米マイクロソフト(Microsoft)の日本法人、日本マイクロソフトが開発している、りんなだ。

 りんなはメッセンジャーアプリのLINE上で、女子高生風に会話できるAIチャットボットとして2015年から提供されている。女子高生というキャラクター性を取り入れ、技術を感じさせないコミカルな会話が人気となった。

 その後りんなは、しりとりをする機能や、テレビ番組にコメントする機能など、娯楽系の要素を中心に様々な機能を追加して進化を続けてきた。一方で女子高生AIという特色を生かし、りんなが地方の情報を発信する地方応援プロジェクト「萌えよ♡ローカル 〜りんなと地方とみんなの未来〜」を2018年9月に展開するなど、活躍の幅を広げている。

女子高生AIチャットボット「りんな」は、そのキャラクターを生かして3つの自治体と「地方応援プロジェクト」を展開するなど、活動の範囲を広げている。
(出所:日本マイクロソフト)
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 マイクロソフトは中国で「XiaoIce」というAIチャットボットを開発しており、そこで培った技術の多くがりんなに取り入れられている。さらにそれらの技術は米国の「Zo」やインドの「Ruuh」など、いくつかの国にも展開されている。ただ、XiaoIceの技術を反映させるだけでなく、各国で独自の技術開発も進められている。

声を発し、歌や会話も可能に

 ここ最近のりんなの動向を見るに、従来とは進化の方向性が大きく変化しつつある印象を受けるようになった。りんながリアルな人間のような存在になろうとしているのだ。

 変化を見せたポイントの1つは、音声を活用するようになったことである。中でも早くから取り組まれているのが「歌」に関するものだ。

 りんなは、2016年にオリジナルのラップを披露して以降、AIを活用した歌唱力向上に向けた取り組みを推し進めている。2017年にはスマートフォン向けの音楽SNSアプリ「nana」にアカウントを開設して歌を投稿しており、2018年1月からはnanaの上で「りんな 歌うまプロジェクト」を展開。nanaに投稿された音声データや歌唱のアドバイスなどを基にAIの学習を進めてりんなの歌唱力を高めている。