ファンドの出資企業との合弁で新事業開拓を狙うソフトバンク

 ソフトバンクは、親会社となるソフトバンクグループのここ最近の決算説明会において、自らの顧客基盤を生かしながら事業機会を増やすことを成長戦略として打ち出している。ソフトバンクグループらが中心となって設立した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が出資する企業と国内で合弁会社を作る際の受け皿となることで実現するという。

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先はITで先進的な取り組みをしている企業が多いが、ライドシェアやEC(電子商取引)など直接通信と関係がある企業ではない。そうした企業との合弁に力を入れようとしているソフトバンクも、やはり通信とは異なる新規性のある事業に成長の可能性を見出していると言えよう。

ソフトバンクはヤフーとともに、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業が日本展開する際の合弁先となり、顧客基盤を生かしてサービスの利用を広めることを成長戦略として打ち出す。写真は5月9日のソフトバンクグループ決算説明会より(筆者撮影)
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新規事業とネットワークの成長を両立できるか

 なぜ携帯大手3社が、通信とは異なる部分に重点を置いた施策を多く打ち出すようになったのか。そこには携帯電話市場の飽和があり、それを起点として発生したMVNOやサブブランドによる低価格サービスの伸びと、それに伴う収益性の悪化がある。

 それを裏付ける一例として、KDDIのメインブランドであるauの契約者数推移は年々減少を続けており、2017年3月末時点では約2514万人であったのが、2018年3月末時点では2469万人にまで減少している。

 そうした状況下で成長を続けるためには、既存の顧客1人当たりの売り上げを増やすか、通信以外の事業を広げるしかない。これまで携帯大手は前者の取り組みを強化してきたが、顧客自体が減少傾向にある現在では、どちらかというと後者の取り組みに力を入れる方針に切り替えたようだ。事業基盤の軸そのものを大きく変えたNTTドコモの取り組みが象徴していると言えよう。

 だが一方で、今後は5Gネットワーク整備に向けた投資が本格化し、新規参入を予定している楽天との競争も求められるなど、ネットワークもおろそかにできる状況ではない。通信と新しい事業をいかに両立して成長できるかが、携帯大手3社は問われることになる。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。