NTTドコモが事業の軸足を「dポイント」の会員基盤に移すことを明らかにし、KDDIがauのデータ通信と米ネットフリックスの動画配信を一体にした料金プランを発表するなど、大手携帯電話事業者が通信以外の事業を強化する動きが目立っている。背景にはスマートフォン向け通信サービス市場が飽和するなかで、いかに成長するかという各社の悩みがあるようだ。

NTTドコモは「dポイント」を新たな事業軸に

 次世代モバイル通信規格の5G(第5世代移動通信システム)が盛り上がりを見せ、ここ数年来落ち着いていたインフラ投資が再び拡大しつつある携帯電話大手。だが最近の各社の戦略を見ると、主力事業である通信の影が日増しに薄くなりつつあるように見える。

 その傾向は各社の発表会や決算説明会などから顕著に見えてくる。実際、NTTドコモは2018年4月27日に実施した決算説明会で、今後の事業基盤を携帯電話契約ではなく、ポイントプログラム「dポイント」の会員基盤「dポイントクラブ」へと移すことを明らかにしている。これによって同社の回線契約者以外のより幅広い消費者に対して、同社が提供するサービスなどの価値を提供できるようになるとしているのだ。

 5月16日に実施されたNTTドコモの夏商戦向け新サービス・新商品の発表会にも、そうした同社の新しい方針が明確に表れていた。当日はスマートフォン新機種だけでなく、新たに2つのサービスが発表されている。

 1つはdポイントを活用して投資体験ができる「ポイント投資」。高いリターンを目指す「アクティブコース」と、安定したリターンを目指す「バランスコース」のいずれかを選んでポイントを投資し、運用するサービスである。まずは投資を体験して慣れてもらい、AIなどを活用した「ロボアドバイザー」による資産運用サービス「THEO+ docomo」の利用につなげることが同社の狙いのようだ。

 そしてもう1つは、同社がかねて導入を予定していた、音声などを活用したAIエージェントサービス「my daiz」。dポイントをはじめとしたNTTドコモの様々なサービスと連携できるほか、スマートフォンを持つユーザーの行動を学習し、情報を先読みで伝える。情報の先読みなど一部機能は月額100円の有料制となるが、それ以外は無料で利用が可能だ。

 これらはいずれも、NTTドコモの回線契約者でなくても利用できる。dポイントクラブを軸にサービスを提供することで、回線契約にひも付かない顧客を増やして成長につなげようとしている様子が見えてくる。

NTTドコモが提供する「my daiz」。話しかけて操作する音声アシスタント機能だけでなく、日常の行動を把握し、先読みして情報を提供する機能なども備える。写真は5月16日のNTTドコモ新サービス・新商品発表会より(筆者撮影)
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