KDDIは2018年5月7日、4Gの通信を活用し、運転席が無人の状態で走行する「レベル4」の自律型自動運転のデモを、福岡県福岡市で報道陣に公開した。次世代モバイル通信方式「5G」の普及を見据え、大手キャリアが自動運転の実証実験に力を入れる動きはここ最近目立っている。KDDIの自動運転への取り組みの狙いはどこになるのか。

5Gの導入に向け自動運転に力を入れる大手キャリア

 自動車を自動制御して走行する自動運転は、自動車の在り方を大きく変えるものとしてここ最近注目を集めている。そしてその実現に向けた実証実験もかなり積極的に進んでいる。

 自動運転に力を入れているのは自動車メーカーだけではない。携帯電話事業者も、自動運転の分野に積極的に取り組んでいる。NTTドコモは2016年より、福岡市やDeNAらと「スマートモビリティ推進コンソーシアム」を設立、九州大学構内で自動運転バスの実証実験を進めている。ソフトバンクは自動運転事業を手掛けるSBドライブを2016年に設立し、自動運転バスの商用化に向けた実証実験などを行っている。

 なぜ携帯電話会社が自動運転に力を入れているのか。その理由は次世代モバイル通信規格の5G(第5世代移動通信システム)にある。5Gは最大20Gbpsの高速大容量通信を実現するというだけでなく、ネットワーク遅延が1ミリ秒以下と4Gよりはるかに小さいこと、そして1平方キロメートル当たり100万台の機器を同時にネットワークにつなげる多接続を実現できることなどが、大きな特徴となっている。

 日本では5Gの商用サービスが2020年に始まるとされているが、サービス開始当初の時点でこれらの仕様が全て盛り込まれるわけではない。だが将来、これら機能が盛り込まれた際には、低遅延や多接続などの特徴を生かしてネットワーク経由で自動車を制御する、自動運転の実現に大きく貢献すると期待されている。

大手キャリアは5Gの利活用の幅を広げるべく、低遅延などの特徴が生かせる自動運転の実証実験に力を入れている。2017年7月18日にSBドライブが実施した、自動運転バス「NAVYA ARMA」による自動運転バスの実証実験より(筆者撮影)
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 そうしたことから携帯電話会社は自動運転に力を入れているわけだが、まだ5Gの商用サービスは始まっていない。それゆえ国内では、ソフトバンクがSBドライブらと共同で5Gネットワークを活用したトラックの隊列走行実験などを実施してはいるものの、ネットワークを本格的に活用した自動運転の実証実験はほとんど進んでいない。