一時期に比べると盛り上がりに欠ける印象のあるVRだが、アミューズメント施設向けのVRは堅調に数を増やしており、着実に広がっている。子供がプレイできないというアミューズメント施設ならではの課題も、徐々解消に向かいつつある。それだけに、アミューズメント施設がVRへの関心を高め、VRのコンテンツや文化をけん引する存在となる可能性は高いのではないだろうか。

人々の関心を失ったようにみえるVR

 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、360度の映像で現実とは異なる空間を楽しめる仮想現実(VR)は、ここ数年で急速に盛り上がりを見せてきた。HTCの「HTC Vive」などパソコンに接続するタイプのVR HMDだけでなく、コンシューマーゲーム機を活用したソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation VR」や、スマートフォンを活用したサムスン電子の「Galaxy VR」など、幅広い環境に対応したVR HMDが登場。VRを楽しむためのハードルは大幅に下がり、身近な存在となった。

 しかしながらここ最近、IT・テクノロジー系の動向を追っていると、VRに関する話題を耳にする機会が少なくなったというのが、筆者の正直な印象でもある。「ポケモンGO」のヒット以降、拡張現実(AR)に対する関心が高まったことや、人工知能(AI)など他の技術に対する関心が急速に高まった影響もあるかもしれないが、VRの注目度が落ちている要因は他にもあると考えられる。

スマートフォンやコンシューマーゲーム機などに広がりHMDの入手や利用がしやすくなったVRだが、多くの人が利用するにまでは広がっていない。写真は2017年5月30日のau新商品・サービス発表会より(筆者撮影)
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 HMDを使ったVRはもともと、視界を完全に覆うため、利用に一定の制約が生じてしまうというハードルがある。それだけに自分でVR HMDを購入して利用するには明確な目的、つまりキラーとなるコンテンツやサービスが必要なのだが、まだそうした存在が登場していないのが現状だ。

 それゆえ現在のところ、VRのコンテンツを楽しみたいという強い目的意識を持つ人でなければ、VR HMDには手を出しにくい。VRをちょっと楽しみたいというライトユーザーを取り込めていないことが、VRが盛り上がりに欠ける要因になっているのではないかと筆者は見る。

 だが、そうした家庭・個人向けのVR HMDの状況は、VRの側面の1つを示しているにすぎない。実はVRが盛り上がっており、活用が進んでいる分野が存在する。それはアミューズメント施設だ。

実は盛り上がっているアミューズメント施設のVR

 VRのコンテンツを楽しめるアミューズメント施設は、ここ最近急速に増えている。バンダイナムコエンターテインメントは2016年、東京・お台場にVR専門のアミューズメント施設「VR ZONE」を期間限定でオープン。さらに同年12月にはエンターテインメント施設を運営するアドアーズが東京・渋谷に「VR PARK TOKYO」をオープンしている。

 以降も両社を中心として、VRを取り入れたアミューズメント施設は拡大傾向にある。バンダイナムコエンターテインメントはVR ZONEの終了後、2017年7月に東京・新宿に新たなVRの旗艦施設「VR ZONE SHINJUKU」をオープン。同年8月には、VR ZONE SHINJUKUの一部コンテンツが楽しめる小型店舗「VR ZONE Portal」を国内外に展開しており、国内では既に20店舗を展開するに至っている。

 一方のアドアーズも、2017年12月にVR PARK TOKYOの2号店を池袋にオープンし、さらに札幌に小規模のサテライト店舗を展開。2018年3月3日には累計の入場者数が10万人に達したことを明らかにするなど、順調に伸びている様子がうかがえる。