Q.定年後再雇用制度を利用し、現役時代と同じ部署でプロジェクトマネジャーの補佐として働いています。不満は今の給与の安さ。現役社員との給与格差があまりにも大きいのです。元部下にもいろいろ気を遣う毎日です。こうした悩みを持つ再雇用者は多いと思うのですが、何とかならないのでしょうか。

 定年後再雇用の給与減額については、これまで世間的にも容認されている状況でした。年金の支給開始年齢が65歳であり、企業には2006年に60歳定年後の生活に困らないよう雇用延長の努力義務が課せられ、2013年に義務化されました。当初は雇用延長が重視され、賃金の減額が一般的でした。

 ところが2020年から施行される同一労働同一賃金によって、定年後再雇用の給与減額がおかしいという声が上がってきました。再雇用者の増加で企業内の高齢化が進み、なおさら声が強くなったのでしょう。再雇用者の賃金について減額した一律支給ではなく、そろそろ役割に応じた給与体系に変えなければならないのではないでしょうか。

減額しても容認される前提が崩壊

 そもそも定年後再雇用者の賃金は、年金と給付金ありきで設計されていました。つまり役割という観点ではなく、働きながら国から支給される「老齢厚生年金」と「高年齢雇用継続給付金」を考慮した給与設計だったわけです。これらは給与が一定額以上になると支給されません。そのため20万円前後の給与にした企業が多かったのです。

 しかし老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付金は今や期待できません。働きながらもらえていた老齢厚生年金の受給開始年齢は65歳(段階的に引き上げ中)となり、実質的に60歳定年時からの年金がなくなりました。高年齢雇用継続給付金についても老齢厚生年金を考慮していたため、定年時点の75%以上の賃金を受け取る場合や、再雇用時の賃金が36万3359円(令和元年8月~令和2年7月)以上の場合は支給されません。もはや再雇用の賃金が減額される前提は崩れており、一昔前の世代との不公平感はますます強くなっています。

「役職定年」と併せて2回減額されている

 さらに多くの企業は50代半ば頃に賃金を減額する「役職定年」を導入しています。この制度は60歳の退職(引退)が前提でした。しかし今は再雇用制度によって65歳まで働けます。つまり社員にとっては役職定年と再雇用時の2回にわたって減給される状況が生まれています。

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