直井:今回の例だと「所長はお見積もり金額を知っているのですね。ありがとうございます。ちなみに、すでに見積書は送っていただいていますか?」のように質問の仕方を変えて繰り返すんです。

平野:そう。分かってきたね。それは私もよく使う手だし、結果につながるよ。

直井:相手の回答を受け止めた上で、自分の主張を暗に伝え、こちらが望む回答を引き出す。この進め方なら印象は悪くなりません。

平野:そうだね。これならしつこくもないし。「直井さんの意図って、こっちだったのか」と気付いてくれる可能性は高いだろう。それでも気付かなければ、しばらくこのようなコミュニケーションを続けて様子を見てもいいだろうね。

直井:様子を見るにしても、それでも伝わらない人がいたら、どうしたらいいのでしょうか?

平野:その場合も、相手を叱ったり、責めたり、否定したりするのは得策とは言えない。「いつも先読みしてくださりありがとうございます。ただ、誤解がないよう進めるため、現状を正確に把握したいので、見積書を送っていただいているかどうかも教えていただけますか?」のようにメールで理由を伝えてもいいね。

直井:おおぉ。柔らかいように見えて、はっきりと伝えていますね。

平野:こうして自分の意図を言語化することも大事だよ。「いつか気付いてくれるだろう」「多分、分かってくれるはずだ」と思っても伝わらないことは多いんだ。そこでストレスを抱えるくらいなら、伝えた方がいい。ある意味、期待しすぎない方がいいんだよ。

直井:なんだかドライですね。

平野:ドライというか、合理的なのかな。相手に配慮することは大切だ。しかし、本当に配慮をするなら、伝えるべきだと思う。言うべきことが言えていないというのは、配慮ではないからね。

直井:ちなみに所長、もう一つ聞きたいことがあるんです。

平野:ん?何かな?