構造設計者として多くのプロジェクトを抱えていた小栗新氏は、2000年代に入ると新しい道を踏み出した。自ら手を挙げて再びロンドンへ赴任し、プロジェクトマネジメントやデザインマネジメント(PM)の業務を学ぶ。それは、構造設計の実務に携わるうちに抱いた疑問を払拭するための選択でもあった。(全3回のうちの第2回)

2度目のロンドン赴任は家族とともに(写真:Arup)
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 ロンドンでの3年間の研修を終えて1994年に日本に戻り、構造設計者として経験を積みました。国内外の多くの建築家と組み、住宅から大規模建築まで幅広く関わる機会を得ました。

 その間に頭をもたげてきたのが「自分にとってのクライアントは建築家だけなのだろうか」という思いです。

 建築家は、新しい試みをしようという意気込みを持って私たちアラップに声を掛けてくださる。時として技術的に難しい内容にチャレンジすることが期待され、その期待に応えることにエンジニアとして喜びを覚えていました。でも、その挑戦が建築の発注者や利用者のためになっているのだろうか、と感じることも少なからずあったのです。

 その頃アラップの東京事務所では、外資系企業の発注者側に立って日本の設計者・施工者と相対していくプロジェクトマネジメント(PM)業務を担う事例が少しずつ出てきました。社内で、PMをビジネスにすることを考えて、もっと多様な顧客に価値を提供できるようにしていこう、という機運が生まれていました。

 当初こうした業務は英国人が担当していましたが、将来の展開を考えれば日本人の担当者もいたほうがよい。そこで私が手を挙げ、2003年から04年にかけての1年間ロンドンに赴任し、PMやデザインマネジメントの業務を学ぶことになりました。

小栗新氏(写真:鈴木 愛子)
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