「オープンデータに注力する」。2013年5月、横浜市の全体戦略を議論する常任委員会「政策・総務・財政委員会」の委員長としての鈴木太郎氏(自民党・当時3期生)の発言が、 同市が行政として本格的にオープンデータに取り組むための号砲となった。
  あれから約5年。国では議員立法で「官民データ活用推進基本法」が2016年に制定され、横浜市議会では鈴木氏がリードする形で「横浜市官民データ活用推進基本条例」が2017年に可決・成立した。私が初めて議会でオープンデータを取り上げた2012年には考えられなかったほど、官民挙げたオープンデータの活用機運は高まってきた(関連記事)。それでも、オープンデータが起点となった新産業の創出や行政の意思決定プロセス、政策立案の変革はいまだに起きていない。オープンデータが今後、都市をどう変えていくのか、そのために必要な条件は何かを、鈴木氏本人に聞いた。(聞き手=伊藤大貴)

伊藤 この数年でオープンデータは政策の土俵に乗るところまできました。私たちが初めて取り上げたころは、まったく利用の機運がなかったことを考えると隔世の感がありますが、個人的にはオープンデータの推進に難しさを感じていた数年でもありました。ハッカソンやアイデアソンは全国的にも数多く実施されて、「オープンデータでこんなことができるね」という触りみたいなことは実感できましたが、一方で、行政のマネジメントを変えたか、というとまだ道半ばです。5年前の委員長宣言を振り返りつつ、この間のオープンデータ界隈の動きをどう評価していますか。

鈴木 もともと未知の世界ですからね。なかなか思い描いている通りにはならないな、というのが正直な感想です。5年前に委員長として「今年はオープンデータに注力する」と宣言したのは、私なりに考えがありました。

 1つは、オープンデータに対する取り組みそのものが横浜市という大きな組織の中で、決して主流ではなかったこと。これは議会サイドから見ていて、非常に不安定だと思いました。確かに伊藤さんたちが議会でオープンデータの推進の必要性を訴えて、市役所でもなんとなく必要そうだという空気にはなっていましたが、「じゃぁ、誰が、どの責任で推進するのか」というと、非常に心もとなかった。あのままだと、いずれ「やるか、やらないか」という議論に戻ってしまう可能性もあったと思います。

 私は直感的には「オープンデータは推進すべきもの」と思いましたし、政府筋にもそういう考え方がありました。行政が動かざるを得なくなるように、委員長として宣言したのです。

横浜市会議員の鈴木太郎氏

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