2019年8月7日に東芝の決算が発表され、大手電機8社の2019年4~6月期決算が出そろった。決算内容をポジティブに評価できるのは、ソニー、NEC、富士通の3社、ニュートラルなのは日立、三菱電機の2社、ネガティブだったのはパナソニック、シャープ、東芝の3社だろう。

 今回の決算は、各社の好不調が比較的鮮明に現れただけでなく、今後のエレクトロニクス業界の動向を占う上で興味深いヒントが散見される。各社の決算内容を通して、低迷していた半導体市況にターニングポイントが訪れつつあること、5Gを前提としたICT投資がこれから活性化しそうなことを筆者としては感じた次第である。各社決算の要点を紹介しながら、着目すべき点について分析する。

日立製作所:半導体需要低迷の影響受ける

 日立製作所の2019年4~6月期の営業利益は、前年比237億円減益の1243億円だった。日立国際電気の売却や日立オートモティブシステムズの一部事業譲渡などの影響も含んでおり、会社計画通りの内容だ。

 上場子会社4社(日立ハイテクノロジーズ、日立建機、日立金属、日立化成)の営業利益の下振れは、半導体不況に伴う関連装置や関連材料の需要が下振れしていることが主要因だった。

 日立グループとしては、主力5分野(IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ)が堅調に推移していることで、この下振れをカバーしている。ITはシステムインテグレーション、国内向けストレージ・PCサーバが好調で、IT関連需要が順調に伸びていることを示唆している。

 「Lumada」事業の2019年4~6月期の売り上げは前年比13%増の2510億円。日立物流とタイにおいて輸送車両シェアリングサービスの提供の開始、米国のバートゥサ社とAIを活用した金融機関ソリューションに向けた協業の開始など、グローバルに事業を展開している。

 全体としては、足元が半導体関連の需要低迷の影響を受けているものの、ITなどの主力分野の中長期見通しが明るい点は、ポジティブに評価できる内容であった。

東芝:メモリーやLNGで損失

 東芝の2019年4~6月期の営業利益は前年比71億円増の78億円だったが、東芝メモリの持分法損失381億円(前年は122億円の黒字)、液化天然ガス(LNG)事業譲渡引当損失893億円などにより、1402億円の純損失を計上した。

 構造改革により、エネルギーやインフラ、ビルなどの各部門で収益改善が見られている点は評価できる。しかし営業利益の水準は、いずれも100億円未満で、今後の稼ぎ頭として期待できるレベルには至っていない。

 東芝が営業利益で高い期待を寄せているのは、メモリー事業を連結から外した今もデバイス&ストレージ部門だが、2019年4~6月期の営業利益は12億円に低迷している。通期では470億円の営業利益を計画しているが、中国市場でのディスクリートおよびシステムLSIの需要低迷が収益を圧迫しているのが現状である。

 東芝メモリ(2019年10月1日から「キオクシア」に社名変更予定)は、近い将来上場を目指している。40.2%の株式を保有する東芝が381億円の持分法損失を計上したことから逆算すると、2019年4~6月期の営業損失は950億円前後と推定される。現在ボトムにあえいでいるNANDフラッシュメモリー市況は、そろそろ回復基調に向かうと筆者は予想しているが、年内は赤字経営が続きそうな見込みである。

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